最近では死後となりつつある『ギャグ(Gag)』という言葉。
少し理屈っぽく解説すると『話題や行為の最中に挿入する短い言葉や仕草などで、滑稽な効果をもたらすもの』という意味になるそうですが、シンプルに『冗談』『ジョーク』という解釈で良いのだと思います。(たぶん…。)
そんな『GAG(ギャグ)』という言葉を車名にしたバイクが、今から三十数年前に存在していました。
私のようなオジサン世代の方はご存じだと思いますが、ぜひ若い世代の方にも、このバイクの存在を知って頂きたいので、少しGAGのことを紹介させて頂きます。
時は1986年、時代はレーサーレプリカブーム全盛期!
各メーカーが馬力規制を設け、熾烈なパワーバトルを展開する中、スズキが世に送り出したのが、原付初のフルカウルバイク『GAG』でした。
GSX-R400やGSX-R750にそっくりな外観は、まさにパロディ!
シートカウルに貼られたデカール『SACS』は、本家GSX-Rと同じ
Suzuki
Advanced
Cooling
System
(スズキの油冷システムのこと)
を意味します。
あれ?
GAGのエンジンはスズキのビジネスバイク『4サイクル・バーディー50』をベースとしているので、バリバリの空冷のはず。
でも、よ~く見ると、
Suzuki
Advanced
Comical
System
と書かれています(笑)
とまぁ、とんだおふざけバイクが発売された訳です。
たがしか~し、
変態スズキさんは、おふざけだけでは終わりません。
ダブルバックボーンフレームにフロントディスクブレーキやモノサスなど、当時の原付としては贅沢過ぎる装備もキッチリと身にまとっていました。
さらに、設定された4種類のデザインがまた秀逸です。
まずは、先程ご紹介したGSX-R風の『レプリカ』
そして、戦闘機のような『バトルプレーン』
続きまして、おそらく当時不人気だったであろう『ポップアート』
最後に、サングラスをかけたウサギデカールが特徴的な『ピンクス』
今なら間違いなく4種すべてを大人買い!!ですね。
先駆者に起きた悲劇!?
GAGのことを知れば知る程に、私はこう思いました。
こんな素敵なバイク、売れない訳がない!
と。
しかし、ここで1つ目の悲劇が起きます。
スズキが原付初のフルカウルバイクGAGを発売した1986年の年末にヤマハからYSR50(80ccも)というGAGと同じ原付フルカウルバイクが発売になりました。
GAGのエンジンは4スト・5.2馬力。YSR50のエンジンは2スト・7.0馬力。
ホイールも、GAGの10インチに比べYSR50は12インチを装備していました。
先に述べたように、当時はパワーバトルが勃発していたくらいですから、GAGとYSR50、どちらが売れるかは一目瞭然です。
そして翌年の1987年、2つ目の悲劇が起きました。
ヤマハのYSR50に次いで、ホンダからもNSR50(80ccも)という本格ミニレーサーレプリカが発売されたのです。
このNSR50は、説明の必要すらないほどの名車で、GAGごときが敵うはずもありません。
そんなこんなで、原付初のフルカウルバイクGAGは、たった2年で絶版車の仲間入りとなったとさ。
鈴菌感染度 ★★★★☆
このご時世、ウイルスの話をするのはいかがなものかとも思いましたが、スズキのバイクを語るうえで、避けては通れないのが『鈴菌』の存在です。
≪鈴菌(Suzuki virus)≫
鈴菌とはSUZUKI(自動車/バイクメーカー)をこよなく愛する人に感染するウィルスである。 感染者はある種のバイクや、時にはある種の自動車を熱狂的に愛するようになる。
私たちが保有している車種にも鈴菌キャリアがあります。
・ジムニーシエラ 感染度 ★★☆☆☆
・グース350 感染度 ★★★☆☆
そして、この鈴菌感染症は次第に重症化する傾向にあるらしく…
自覚症状はなかったのですが…
暖かくなるにつれて病状は悪化していたようで…
ある日、ふと気がついたら…
無意識のうちに…
GAGを買っていました(笑)
写真:無意識のうちに買ってしまったスズキ GAG
GAGの鈴菌感染度は ★★★★☆ (推測)です。
まさかの2オーナー車、実走行10,247km。
奇跡的な個体です。
これから少しずつ点検・整備して公道走行ができるようになったら、ナンバーを取りたいと思います。
写真:スズキ高度冷却システム 改め スズキ高度滑稽システム
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