前回は、経理処理の目的を達成する為のポイントについて「法人税(会社)または所得税(個人)」の観点からご案内致しました。
今回は、前回書ききれなかった「消費税」の観点からそのポイントについてご案内したいと思います。
(消費税の基本的な仕組みについては、前回の記事「2014.09.17自動車業界(中古車販売店や車検整備工場)における消費税に関する基礎知識」をご覧頂いたうえでご理解頂いているものとしてお話を進めさせて頂きます。)
経理処理の目的(前回の繰り返し)
あくまでも個人経営者の方や中小企業経営者の方が前提となりますが、経理処理を適正に行う目的は「自社の経営状況を適切には把握すること」と「適正な税務申告を行うこと」の2つに尽きます。
要は、この2つの目的を達成すれば良いだけなので、難しいことは考えなくて大丈夫です。
なお、前者の「自社の経営状況を適切には把握すること」については、皆様の経営状況などによって様々な方法がありますので、個別にご相談して頂くとして、今回は「適正な税務申告を行うこと」という目的を達成する為のポイントを、前回は「法人税または所得税」の観点から、今回は「消費税」の観点からご説明させて頂いております。
(ちなみに上場会社などは、投資家さんや関係者の方に対して会社の業績を適切に報告しなければならない為、厳しいルールの下、経理処理を行う必要がります。)
消費税等の観点から
自動車業界における経理処理を行ううえでは、常にその取引内容が「消費税の対象となるか否か」を意識することが重要となります。
とは申しましても、そう難しく考える必要もなく、皆様が「これは消費税がかかっているな」とか「これは消費税がかかっていないな」と感覚的に判断された結果が概ね正解になる様になっておりますので、ご安心下さい。
消費税の対象となる取引の例示
・車両本体や部品の売上げ
・整備代の売上げ
・車検代行手数料
・登録代行手数料
・車検整備代
・納車準備費用
・車庫証明申請手数料
・部品やオイル類の仕入れ
・板金業者等への外注費 などなど
消費税の対象とならない取引の例示
・税金(自動車税、重量税、取得税など)
・保険料(自賠責保険料、任意保険料など)
・リサイクル預託金
・登録に係る印紙代 などなど
相当額にご注意を
ここまでご覧頂いて「消費税って意外と簡単だな!」と思われた方が多いのではないかと思いますが、実は、消費税は数ある税金の中でも比較的シンプルで身近に感じられる税金といえるのです。
しかし、そんな中でも1つだけ注意して頂きたい項目があります。
それが「相当額」という考え方です。
以前の記事「2014.07.11中古車販売における未経過自動車税等の取扱い」でも記載したことがあるのですが、中古車を販売する際にお客様から受け取る未経過分の自動車税「相当額」や未経過分の自賠責保険料「相当額」は一見すると消費税の対象とならない税金や保険料と判断してしまいがちですが、これらはあくまでも「相当額」であって、その実態は車両代金と同様となりますので、「売上代金の一部」として経理処理して、消費税の対象とする必要がありますので、ご留意下さい。
最後にもうひと論点だけ
ご存知の方も多いかと思いますが、消費税の計算方式には「原則課税方式」と「簡易課税方式」の2種類の方法があり、基準期間(2年前)の課税売上高が5,000万円以下である課税業者は、いずれか有利な方法を選択することができます。
しかし、ご自身で確定申告をされている方や税理士(会計事務所)の関与形態が年1回だけの場合には、有利不利の検討を行わずに、無駄に高い消費税を納めているケースが散見されます。この記事を読んで何となく不安に思われた方がいらっしゃいましたら、無料で有利不利の診断を行いますので、気軽にお問い合わせ下さい。