今回は、前回記事の続編ということで「自動車業界(中古車販売店や車検整備工場)における経理処理ポイント【後編】」をテーマに記載する予定でしたが、この内容は「消費税等の観点から自動車業界の経理処理のポイント」をご案内するものであり、消費税に関する基礎知識が必要となる内容です。
そこで今回は、「消費税等の観点から自動車業界の経理処理のポイント」についてご案内する前の予備的記事として、自動車業界の方に最低限知っておいて頂きたい消費税に関する基礎知識についてまとめたいと思います。
(「消費税等」の「等」って何ですか?との質問を頂きましたが、実は一般的に消費税8%といわれているのは消費税6.3%と地方消費税1.7%の合計で構成されていて、「消費税等」の「等」はこの地方消費税を指します。紛らわしいので、今後は「消費税」という表現のみを使用させて頂きます。)
税理士試験受験生が最初に覚える2つの呪文
「国内において事業者が行った資産の譲渡等には消費税を課する」
「資産の譲渡等とは事業として対価を得て行われる資産の譲渡および貸付ならびに役務の提供をいう」
さっぱり意味が分からない方が殆どだと思いますが、実はこの2つの呪文に消費税の基礎知識の9割が詰まっています。あとは、残りの1割(非課税取引)を押さえれば、皆様も今日から消費税マスターです!!
消費税の4要件
前述2つの呪文には消費税の課税対象となる取引の要件が4つ示されており、通称「消費税の4要件」と呼ばれています。この4要件こそが、消費税を理解するうえで最も重要な核となる部分で、消費税の考え方のほぼ全てが詰まった部分となりますので、1つずつ簡単にご紹介していきます。
1.国内で行われる取引であること
消費税は、日本でのモノの消費等について課税する制度ですので、海外での取引は日本の消費税の対象とはなりません。
2.事業者が事業として行う取引であること
消費税は、個人事業主、法人経営者を問わず、商売として行った取引に対して課税する制度ですので、例えば友達から洋服を売ってもらった場合などは、消費税の対象とはなりません。
3.対価を得て行われる取引であること
消費税は、対価性(代金の支払)のある取引だけを対象としているため、贈与や寄附といった無償の取引については、消費税の対象とはなりません。
4.資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供であること
消費というと、物を消費(購入)することをイメージしてしまいますが、資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供の3つが消費税の課税対象となる取引となります。資産の貸付や役務の提供(サービス)なども消費税の課税の対象取引に含まれることに注意が必要です。
非課税取引を押さえる
消費税の4要件を満たした取引が、消費税の課税対象となります!とご案内させて頂きましたが、例外がございます。
この例外が「非課税取引」と呼ばれる取引で、「消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないもの」や「社会政策的配慮から、課税しないもの」が定められています。
下記に主な非課税取引を列挙しますが、全て覚えるのではなく、「確かに、この取引のときには消費税を払ってないな」「確かに、この取引のときに消費税を課税するのは酷だな」といった具合に納得しながら目を通して頂ければ十分です。
主な非課税取引
①土地の譲渡及び貸付け
→何となくですが、土地は消費しませんよね。
②有価証券等の譲渡
③支払手段の譲渡
④預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
→自動車保険の代理店手数料は非課税ではありません!!
⑤日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡
⑥商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
⑦国等が行う一定の事務に係る役務の提供
→ちょっと分かり辛いですが、お国が行う登記とか特許事務といった内容を指してます。
⑧外国為替業務に係る役務の提供
⑨社会保険医療の給付等
→美容整形など保険適用でないものは非課税とはなりません。
⑩介護保険サービスの提供
⑪社会福祉事業等によるサービスの提供
⑫医師、助産師などによる助産に関するサービスの提供
⑬火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
⑭一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け
⑮学校教育
⑯教科用図書の譲渡
⑰住宅の貸付け
以上、最後までお読み頂いた皆様は、今日から消費税マスターです!!