朝晩の冷え込みが厳しくなってきたと思ったら、今日から12月ですね。
今年も残すところあと1ヶ月となりましたが、販売店さんや整備工場さんなどでは、年内納車案件に向けてラストスパートといったところでしょうか。
そして、年末年始をのんびり過ごされた後は、確定申告の準備に取りかからなくてはなりません。
そこで今回は、自動車業界でご活躍中の皆様にとっては、あまり好きになれない存在である「確定申告」について分かりやすく解説したいと思います。
サラリーマンの年末調整と個人事業主の確定申告
国民の三大義務なんていう言葉もありますが、日本国民には、1年間の税金を計算して納付する義務があります。
しかし全国の収入がある人たちが一斉に確定申告をすると税務署側も大変なので、会社が代理して税金計算を行って、12月分の給与支払時に精算(還付または追徴)する制度(=いわゆる年末調整)が設けられており、サラリーマンの方は原則として確定申告をする必要はありません。
しかし、個人事業主の方は、会社が年末調整をしてくれる訳ではありませんので、いわゆる確定申告を行って、自らの1年間の税金を計算して納付する必要があるのです。
確定申告の流れ
確定申告というと「面倒で難しい」という印象をお持ちの方が多い様ですが、決して難しく考える必要はありません。
私たちは、お客様には物事をシンプルに捉えて頂けるよう、分かりやすい説明を心掛けておりますので、ここでも、確定申告の流れについて、超シンプルに解説したいと思います。
<確定申告の流れ>
1.自分自身の1年間の税金を計算する
2.計算された税金を納付する
以上
一見冗談のようですが、本当にこれだけです。
とはいっても、流石にシンプルすぎるので、もう少しだけ、掘り下げて解説していきます。
税金の計算方法
まず、収入(売上)から経費を控除して1年間の「儲け」を計算します。
こうして計算された個人事業主の方の1年間の「儲け」のことを「事業所得」と呼びます。
収入 - 経費 = 事業所得(儲け)
次に、「所得控除(※)」を集計して、この事業所得(儲け)から控除します。
こうして計算された金額が、課税対象(税金の対象となる金額)となります。
事業所得(儲け)- 所得控除 = 課税対象
最後に、この課税対象に所定の所得税率を乗じれば、1年間の税金が計算される訳です。
課税対象 × 所得税率 = 所得税
(※)扶養控除や医療費控除という言葉をよく耳にしますが、これらは所得控除と呼ばれ、商売の直接の経費ではなく、税金を計算する前に、商売で出た儲けから控除することができるものです。
所得控除は、全部で14種類あって、医療費が沢山かかった年や、扶養家族がいて学費などの負担が大変な時期などは、税金の負担を少なくしてもらえる仕組となっています
<14種類の所得控除>
雑損控除・医療費控除 ・社会保険料控除 ・小規模企業共済等掛金控除 ・生命保険料控除 ・地震保険料控除 ・寄附金控除 ・障害者控除 ・寡婦(寡夫)控除 ・勤労学生控除 ・配偶者控除 ・配偶者特別控除 ・扶養控除 ・基礎控除
経費になるかならないかの考え方
中古車販売店や自動車整備工場などに税務調査が入った場合、税務否認を受ける項目は大きく「売上の計上漏れ」と「経費の否認」に分かれます。
前者は、現金売上の計上漏れや代金未収分の計上漏れなどが原因で発生するケースが多いですが、難しい論点はありませんね。
一方で後者はと申しますと、明確な答えが存在しない内容なので、なかなか厄介です。
毎年確定申告の時期になりますと、
「これって経費になりますか?」
といった質問が数多く寄せられますます。
日頃から税務顧問を担当させて頂いているお客様からの質問であれば、事業の内容なども把握しておりますので、直ぐご回答できるのですが、例えば、漠然と「スマホを買い換えたのだけれども経費になりますか?」とご質問を頂いたとしても、即答は出来ません。
経費になるかならないかのポイントは、事業に関連する費用かどうか、言い換えれば、収入を得るために必要な費用かどうかです。
つまり、この質問の答えを一番よく分かっているのは、ご質問頂いたご本人様ということになります。
もちろん、事業内容などと併せてご質問頂ければ、経費性について検討させて頂きますので、気軽にお問い合わせ下さい。
個人事業主に税理士は必要か
個人事業主の場合には、税理士は必要ないと思っていらしゃる方も多いと思いますが、少なくとも私たちは「税理士は必要」だと考えています。
これまでご説明させて頂いたとおり、個人の確定申告作業そのものは難しいものではございませんので、今までご自身で確定申告をされていたのであれば、無理に税理士に確定申告を頼む必要は無いかもしれません。
ただ、税理士は確定申告をするために存在する訳ではありません。
世の中の全ての税理士がそうとは言いませんが、私たちにとって、確定申告書作成業務というものは「副業」に過ぎません。
では、「本業」は何かと申しますと、お客様のトータルサポートです。
年に1回だけ確定申告書作成業務を行うのではなく、お客様の業務内容や経営状況を適正に把握し、日々のご相談内容や税制改正などを考慮したうえで、適宜経理アドバイスや税務アドバイスを行い、その1年間の結果を確定申告書に反映させるというのが本来の税理士の姿です。
個人事業主の方の場合には、青色申告特別控除の適用、専従者給与の活用、消費税の課税方式の選択、法人化(法人成り)などなど、信頼できる税理士のサポートを受けることによって、確定申告の内容は劇的に変化します。
自動車業界と私たちの想い
最後に1つ補足させて頂きます。
私たちは、「自動車業界に特化した税理士事務所(会計事務所)」として運営しておりますが、私たちがいう「自動車業界」という分類は、何も自動車・バイク販売業や自動車・バイク整備業などに限定している訳ではありません。
私たちは自動車やバイクが好きで、自動車やバイクに関連する様々な業種の方々のサポートがしたいとの想いから、この自動車業界特化型の税理士事務所(会計事務所)を立ち上げた訳ですので、自動車業界のHP制作などをされているSEさん、自動車関連雑誌に携わっているライターさんやジャーナリストさん、自動車・バイクを中心に撮影されているカメラマンさんなどなど、フリーランス(フリーランサー)として活躍されている方々の経理や税務申告も積極的にサポートさせて頂いております。
クルマが好き。
バイクが好き。
それだけで十分です。
私たちは、そんな皆様を全力で応援致します。