本日、2016年11月18日、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数をもって、ある法律が可決、成立しました。
その法律とは、「社会保障の安定的財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を…」って長ったらしいので、ざっくり申し上げますと「消費税増税を延期する法律」です。
これにより、消費税率が10％へ引き上げられるのは、当初の2017年4月からではなく、2019年10月からとなりました。
なお、これに伴って軽減税率（酒類・外食を除く飲食料品と新聞に適用）の導入も同じく2年半延期されることになります。
そして、消費税が10％に増税されたタイミングで廃止される予定であった自動車取得税（自動車の購入時に課税される税金）はと申しますと…
その廃止も同様に先送りとなります。
まぁ、当然ですよね。。。
消費税増税と自動車取得税の2段階廃止
自動車を購入した際には、「自動車取得税」と「消費税」の両方を支払う必要がある訳ですが、予てよりこれが二重課税であるとの意見がありました。
確かに、「自動車を取得する」という１つの課税原因に対し、異なる２種類の税金が課税される訳ですから、事実上は二重課税と言えなくもないですね。
これらの税金の課税概念について個人的な見解を述べることは控えさせて頂きますが、この自動車取得税は、消費税が8%に増税された際に減税されており、10%に増税された段階で廃止される見込みでした。
しかし、今回の消費税増税の延期により、自動車取得税の廃止も先送りされたという訳です。
自動車取得税って何パーセント？
自動車取得税の税率は、自家用自動車（軽自動車以外）が5％、軽自動車が3％となっておりましたが、消費税率が8％へ増税された際に、自家用自動車（軽自動車以外）は3％へ、軽自動車は2％へと引き下げられました。
そもそも自動車取得税と消費税とでは、課税標準（税額を算出する上で基礎となる課税対象）が異なるので、単純比較することはナンセンスですが、消費税の増税幅（3％）より自動車取得税の減税幅の方が大きかったので、当時は実質的に税金の負担が重くなったと批判されていましたね。
自動車取得税の廃止と環境性能課税の導入
前述のとおり、消費税率が10％に引き上げられた際には、自動車取得税は廃止される見込みとなっていますが、その一方で、新たな環境性能課税の導入が検討されています。
この環境性能課税は、燃費性能によって購入年の自動車税に上乗せして課税を行うというもので、燃費基準の達成度によって0％～3%の税率での課税が予定されています。
１つを増やしたら、１つを減らし、１つが無くなったら、１つを追加し…
何だかんだで、税金からは逃れられないものですね。
自動車を取り巻く税制
自動車を取り巻く税制は目まぐるしく変化しており、減税されるばかりでなく増税されるものもあります。例えば、軽自動車税は昨年の4月から1.5倍に増税されましたし、自動車重量税も、今年の4月から増税されました。
一方で、エコカー減税や自動車税のグリーン化など、環境保護対策を名目とした経済対策も行われております。
なお、これらは新車販売の内需回復を目指したものであると言われております。
中古車販売店の経営者さまへ
前述のとおり、環境保護対策を名目とした経済対策は、新車販売の内需回復を目指したものであり、中古車販売店における経営環境に直接良い影響を与えるものではありません。主として取り扱う車種層にもよりますが、税制は一過性のものと捉えて、税制に左右されない強固な経営基盤の確立を目指して下さい。
新車・中古車の購入を検討中の皆様へ
税制に関わらず、買いたいクルマ・気に入ったクルマを買って下さい。
少しくらい税金が高くても、減税対象にならなくても、使い勝手が良く、気に入ったクルマに課税される税金の支払は、意外と苦痛ではありません。私見ですが…。
以上、今回は珍しく時事ネタを書いてみました。
あまり、自動車関連の税金批判を書くと干されてしまうので、この辺で（笑）
