税理士という仕事をしておりますと、『これは何の科目で処理したら良いですか?』という質問をよく受けます。
私は、この様に答えています。
『お好きな科目で良いですよ♪』
これだけでは誤解を与えてしまいそうなので、もう少し補足をしながら解説していきたいと思います。
残高試算表と決算書
残高試算表というのは、各勘定科目の金額を一覧にしたもので、原則として毎月、経営状態を把握するための内部管理資料として作成するものです。
一方、決算書というのは、原則として年に1回、株主や債権者、そして税務署などに提出するための外部報告資料として作成するものです。
この残高試算表と決算書、作成時期や形式も当然異なりますが、最も大きな相違点は、その作成目的です。
決算書が外部報告資料として作成されるのに対して、残高試算表は、業績把握のための内部管理資料として作成されるので、勘定科目という点からいいますと、残高試算表の勘定科目は、ある程度自由に設定しても良いのです。
もちろん、金融機関に融資を申し込む時などに、決算書と一緒に直近の残高試算表の提出を求められることがありますので、あまり自由すぎるのも如何なものかと思いますが、経営者の方が後から見て把握しやすい勘定科目を使用するのが最も重要なことなのです。
勘定科目体系の設定
残高試算表の勘定科目の設定は自由であることは前述のとおりですが、簿記のテキストに載っている勘定科目や会計ソフトに初期設定されている勘定科目では、中古車販売店や自動車整備工場における会計処理に当てはめるのは困難です。
中古車販売店や自動車整備工場における経理処理において最も大切なのは、自店オリジナルの科目体系をしっかりと設定し、そのルールに従って規則的に処理することなのです。
具体的な勘定科目体系の設定例については、次回以降の記事でご紹介して参りますので、今回の【基本編】では、次の3点を押さえておきましょう。
1.残高試算表と決算書は作成目的が違う
2.残高試算表の勘定科目は自由
3.自店に合った勘定科目体系を設定することが重要