今回ご登場頂きますのは、サンドブラスト職人の田邊友規(たなべゆうき)さんです。
バイクのレストア作業やホイールのリペントなどを行う際には欠かせない「サンドブラスト」という工法ですが、具体的にどの様な技術なのか、Dune Sandworks (デューンサンドワークス)というサンドブラスト工房を経営され、ご自身の愛車をレストアした経験もおありの田邊さんに詳しくお話を聞いてみたいと思います。
田邊 友規 × サンドブラスト職人
酒井:「田邊さん、この度はお忙しい中インタビューに応じていただき有難うございます。私自身『サンドブラスト』という工法には非常に興味がありまして、本日は色々とお聞きできればと思いますので、どうぞ宜しくお願いします。」
田邊さん:「こちらこそ、お声掛け頂き有難うございます。遠慮なさらず何なりと聞いて下さい。」
酒井:「では遠慮なく!笑。まずは、『サンドブラスト』という工法の概要をお聞きしたいのですが、『砂を圧縮空気で吹き付ける加工法』という説明で良いのでしょうか?」
田邊さん:「平たく言うと、そういうことになりますかね。サンドブラストとは、コンプレッサーによる圧縮空気と砂などの研磨剤を混合した物を、対象物に吹き付けて加工するという技術で、『錆取りや塗装下地処理としての工業用途』と『ガラス等へ彫刻する工芸用途』に大別されます。」
酒井:「なるほど。バイクをレストアする際などに行うサンドブラストは『工業用途』の方に分類される訳ですね。」
田邊さん:「ええ、当店では『クリーニング』と呼んでいる業務メニューで、古い車両のレストア作業には欠かせない加工法ですね。サンドブラストを行うことにより、手や機械の入らない細かい部分まで綺麗に均一に錆取りを行え、塗装の下地に最適な状態に加工することが出来ます。」
写真:空冷エンジンのシリンダーフィンの奥までキレイになります!
酒井:「あぁ、そうか!単に汚れや錆を落とすだけでなく、塗料の食いつきが良い下地を作ることができる訳ですね。ちなみに、素人質問で恥ずかしいのですが、サンドブラストに使用する砂って、その辺の公園にある様な砂とは違うのですよね??」
田邊さん:「もちろん違いますよ!笑。当店では目的別にアルミナ(酸化アルミ)とガラスビーズ(球状のガラス粒)の2種類の研磨剤をご用意しています。それぞれの特徴など詳しい内容に興味がおありの方は、Dune Sandworksのウェブサイトに詳しく説明を掲載しておりますので、ご覧頂ければと思います。もちろん、ご依頼頂いた内容に応じて、私から最適な研磨剤をご提案させて頂きますので、ご安心下さい。」
酒井:「やっぱり公園の砂とは違いましたか!笑。それにしても、サンドブラストの世界というのも、色々と奥が深そうですね。先ほど、研磨剤について簡単にお伺いしましたが、このサンドブラストという工法に対する田邊さんの拘りの様なものがあれば、お聞かせ頂けますか?」
田邊さん:「わかりました。当店の拘りとしては、やはり使用する研磨剤選びですね。サンドブラストに使用する研磨剤の大きさには色々あって、『紙やすりの番手』をイメージして頂けると分かり易いと思いますが、番手の小さい(粗い)もので施工すれば、切削力が大きく、作業時間の短縮が可能となるためコストを低く抑えることができます。しかし、その様な施工方法だと表面が粗くなってしまい、その後の塗装工程で不都合が生じてしまうのです。そのため当店では必要以上に表面が粗くなってしまうような研磨剤は使用せず、番手が大きく(細かく)、粒子のばらつきの小さい研磨剤を使用し、高品位な仕上がりを目指しています。」
酒井:「なるほど。サンドブラストでは、研磨剤選びによって、その仕上がりが大きく左右されるという訳ですね。」
田邊さん:「その通りです。当店では研磨剤の大きさだけでなく、その品質にも拘っています。低品質の研磨剤を使用した場合、残留した研磨剤によって塗装の密着不良や腐食の進行が起こることがあります。また、安価な褐色や黒色などの研磨剤を使用した場合、研磨剤自体の色が対象物に移り、黒ずんだ仕上がりになることもあります。当店では、その様な事態にならないよう、JIS規格に準じて製造された純度の高い高級ホワイトアルミナのみを使用しています。また、ガラスビーズについても同様の理由より国産の物のみを使用しております。」
酒井:「最高の仕上がりを求めるプロフェッショナルとしての考え方、素晴らしいですね。サンドブラストによる『クリーニング』とは、その後の塗装工程のために、最高のお膳立てをする、野球でいう2番バッターの様な存在ですね!笑。」
田邊さん:「2番バッターかどうかは分かりませんが、そんなところですかね…笑。」
酒井:「さて、サンドブラストの『工業用途』について、お話を伺ってきましたが、Dune Sandworksでは、もう一つの『工芸用途』に分類される業務も行っておられるのですよね?」
田邊さん:「ええ、当店では『彫刻』と呼んでいる業務メニューで、サンドブラストの技術を応用して行う彫刻加工ですね。加工できる素材はガラス、プラスティック、金属、デニム、木材等、固体であればほぼすべての材質に加工が可能で、当店では企業様のノベルティ(販促品・記念品)としてグラス等への名入れやロゴ入れのご依頼を頂くケースが多いので、大口のご依頼にも対応できる体制を整えております。まぁ、デニムへの彫刻例は流石に少ないですが、ガラス、石材、木材といった素材は深く削ることができるので、彫刻加工の素材としては最適であると言えます。身近な所では、ガラスや石製の表札、墓石などの文字は全てサンドブラストによって加工されたものなのですよ。」
酒井:「そうなのですか!先ほどの『クリーニング(工業用途)』という業務も、もちろん高い技術が求められるかと思いますが、この『彫刻(工芸用途)』も、また別の技術が必要となりそうですね。田邊さんは、オーダーによる彫刻加工業務だけでなく『*ココマル*』というサンドブラストによる彫刻フォトフレーム専門店の運営も手掛けていらっしゃるのですよね?」
田邊さん:「はい。『こころあたたまる特別な一品を…』というコンセプトから『*ココマル*』と名付け、出産祝いフォトフレーム、結婚祝いフォトフレーム、そして退職・退官祝いフォトフレームを販売させて頂いております。オーダーメイド彫刻で作る世界に一つだけの名入れ記念フォトフレームとなっておりますので、ぜひ大切な方への贈り物としてご検討頂けると嬉しいですね。」
酒井:「私も『*ココマル*』のウェブサイトを拝見しましたが、素敵な商品はもちろん魅力的でしたし、それぞれのギフトの選び方なども丁寧に解説されていて、とても参考にさせて頂きました。ぜひ皆様もチェックしてみて下さい。」
写真:*ココマル*の“こころあたたまる”フォトフレーム達(詳細は画像をクリック!)
田邊 友規 × CYGNUS-X
酒井:「さて次に田邊さんの愛車のことについてお聞きしたいと思うのですが、ちょっとその前にもう一つお聞きしたいことが…。田邊さんが以前お乗りだったバイクは、ご自身でレストアされた車両なのですよね?」
田邊さん:「ええ、今はもう手放してしまいましたが、スズキGS1000Eというバイクのレストアベース車両を入手して、自分自身の手でレストアをして乗っていました。」
写真:田邊さんの手によってレストアされたスズキGS1000E
酒井:「抜群にカッコイイですね!しかもピッカピカ!!」
田邊さん:「ここまで仕上げるの約2年かかりましたからね!笑。確か、エム・エヌガレージさんのウェブサイトは、車好き・バイク好きの方が数多くご覧になるのですよね?私が過去にバイクのエンジンをサンドブラストでクリーニングした際の写真がありますので、宜しければご覧になりますか?」
酒井:「そういうのを待ってました!笑。ぜひお願いします。」
田邊さん:「畏まりました。まずコチラが、クリーニング前の写真です。」
酒井:「うわっ、年季が入っていますね!」
田邊さん:「ええ、オフロード車の単気筒エンジンで、クリーニングし甲斐のあるエンジンでした。そしてコチラが、サンドブラスト加工後です。」
酒井:「おぉ!こんなにキレイになるものなのですね。」
田邊さん:「ええ、まぁ(照)。レストアの作業工程の中で、エンジンASSYを丸ごとブラストするという方法は、エンジンの分解・組立といった工程を省略して行うので、コスト面では大きなメリットがあると言えます。但し、研磨剤がエンジン内に混入する可能性がゼロではない等、リスクも伴いますので、詳細はご相談下さい。」
酒井:「確かに!理想を言えば分解状態でブラストするのが一番ですよね。そうすれは、研磨剤の混入確認や洗浄が容易に行えますしね。ただ、皆様ご予算との兼ね合いもあるかと思いますので、まずはDune Sandworksさんに相談ということで宜しいでしょうか?」
田邊さん:「もちろんです。どんな些細なことでも気軽にご相談頂ければ、お客様にとって何が一番良い方法かを一生懸命考え、自分の専門分野以外のことは、幅広いネットワークで他の専門家とタッグを組んで対応させて頂きます。」
酒井:「それは頼もしいですね。私たち税理士も司法書士や弁護士、社労士といった先生方と協力して業務を行う機会が多いので、ネットワークの大切さと心強さが良く分かります。さて、少し話が逸れてしまいましたが、ここで田邊さんの愛車をご紹介頂いても宜しいでしょうか?」
田邊さん:「分かりました。私の現在の愛車は、ヤマハのシグナスXという125ccのスクーターです。」
酒井:「シグナスとは意外でしたね。GS1000Eにお乗りだった経緯を伺っていたので、大型バイクに乗られているものだと思っておりました。」
田邊さん:「がっかりさせてスイマセン(笑)。私自身、スズキのINAZUMA400を10年程所有していたこともありますし、GS1000Eも良いバイクで気に入っていたのですが、やはり原付2種の実用性には敵いませんでした。その証拠に、新車購入から4年目の現在で約5万8千kmを走っています!」
酒井:「5万8千kmですか!それは凄いですね。それだけ走っていることも驚きですが、バイク自体の耐久性も大したものですね。今でも調子は良いですか?」
田邊さん:「比較的長距離の通勤に使っていた時期もあり、距離は走っていますが、絶好調ですよ。やはりバイクの調子維持の為には『乗ってあげること』が一番ですね。放置期間が長いと、エンジンなど機関の調子も落ちますし、どうしても錆や腐食が発生してしまいますしね…。錆や腐食でお悩みの方は、ぜひDune Sandworksにご相談下さい!笑。」
酒井:「田邊さん、ちゃっかり宣伝を入れてきましたね!笑。ところで、以前は通勤に使用していたというシグナスXですが、現在はどのような用途で乗られているのですか?」
田邊さん:「現在は、仕事の移動の際に活躍してもらっています。東京都大田区という土地柄、入り組んだ道も多く、また客先の町工場等は駐車場が無い場合も多いので、とにかく重宝しています。」
田邊さんの愛車データ
メーカー:YAMAHA
車種:シグナスX(台湾仕様)
年式:2012年
排気量:125cc
酒井コメント:正直なところ、地元奈良県でバイクに乗っていた頃は、この原付2種クラスの魅力は分かりませんでした。しかし、東京に出てきて早8年、今はこのクラスのバイクが1台欲しくてしかたありません!笑。
サンドブラスト職人 × CYGNUS-X
酒井:「田邊さん、本日は貴重なお話をお聞かせ頂き有難うございました。」
田邊さん:「こちらこそ有難うございました。私どもの仕事は、どちらかと言うと裏方の立場なので、こうして取り上げて頂いて嬉しく思います。」
酒井:「それでは最後にお聞きします。サンドブラスト職人 田邊友規さんと愛車シグナスXとは、どういった関係性だと思いますか?」
田邊さん:「私にとってシグナスXは、居ないと困る存在で、急な対応での移動や小物の輸送、そして消耗品の買出しなど、とにかく良く働いてくれる『大切な社員』です。もちろん、良く働いてくれた分だけ、福利厚生としてしっかりメンテナンスしてあげていますので、ご安心下さい!笑」
酒井:「なるほど、『大切な社員』ですか!人を思いやることができ、そしてバイクを思いやることもできる田邊さんらしい、素敵な考え方ですね。田邊さん、本日は本当に有難うございました。本日お話をお伺いして、サンドブラストという工法を身をもって体感したいという思いが強くなりましたので、ぜひ次回は違った形でコラボさせて頂けますと嬉しく思います。」
田邊さん:「こちらこそ、有難うございました。ご依頼頂ければ、どんな物でもクリーニング・彫刻しますので、ぜひコラボしましょう!」
写真:サンドブラスト加工中の田邊さん(作業中は真剣な表情です!)
Dune Sandworks (デューンサンドワークス)のご紹介
店名:Dune Sandworks (デューンサンドワークス)
代表者: 田邊 友規
所在地:東京都大田区西六郷2-48-7
電話:03-6424-7486
FAX:03-6424-7492
E-mail:info@dunesandworks.jp
定休日:日曜日
営業時間:9:00~18:00(土曜日は9:00~12:00)
事業内容:サンドブラストを用いた加工業務
公式サイト:http://www.dunesandworks.jp/