今回ご登場頂きますのは、革職人の白潟篤(しらかたあつし)さんです。
バイク乗りの必需品と言っても過言ではない「革(レザー)アイテム」ですが、単なるファッションとしての要素だけでなく、「経年による風合い」や「愛着」、そして「日頃のメンテナンスの重要性」といった部分で、バイクとの共通点が多いと感じているのは私だけでしょうか。
白潟さんご自身もバイク乗りの方なので、この「革(レザー)」と「バイク」のことも含めて、色々とお話をお伺いしたいと思います。
白潟 篤 × 革職人
酒井:「白潟さん、この度はお忙しい中インタビューに応じていただき有難うございます。お仕事のことや愛車のことを色々とお聞きできればと思いますので、どうぞ宜しくお願いします。」
白潟さん:「こちらこそ。突然の依頼だったので、少し驚きましたが、なかなか面白そうな企画ですね。」
酒井:「有難うございます。では早速お仕事のことからお聞きしていきたいのですが、白潟さんは『革職人』として『革工房Parley(パーリィー)』いう工房を経営されているとのこと、この革工房での具体的なお仕事内容についてお聞かせ下さい。」
白潟さん:「わかりました。私の革工房では、伝統的な革製品を制作し、それらの販売や卸(おろし)を主な業務としております。ひとことで革製品と言っても、その制作工程は様々で、機械による大量生産が一般的となっている現在ですが、私の工房では、厳選された革素材を贅沢に使用し、日本のベテラン革職人による『本物』の革製品を皆様にお届けすることに拘っています。」
酒井:「なるほど。いわゆる『手作り(ハンドメイド)』ってヤツですよね。革製品に限らずですが、私は手作りの製品って好きですね。作り手の想いが伝わってくるというか、温か味があるというか…。」
白潟さん:「私たちParleyがご提供する革製品を通じて、『革』という自然素材の贅沢な素材感を感じて頂き、物を大切にすることの素晴らしさなどを伝えていけたらという想いから、ひとつひとつ丹精込めて大切に作っていますので、酒井さんもぜひお手に取って見てみて下さい。」
酒井:「おぉ。やっぱり『革』って何か良いですね♪上手く表現できなくて申し訳ないのですが…。」
白潟さん:「革の良さというのは、言葉で表すものではなくて、肌で感じるものなので、表現できなくて良いのですよ。私たちの活力は、手にされる方の満足感ですので、これからも一人でも多くの方に『革』の素晴らしさを感じて頂けるよう、良いモノを作り続けていきたいと思います。」
酒井:「ところで白潟さん、私が前々から疑問に思っていたことについてお聞きしたいのですが、革製品って使い込めば使い込む程に『味』が出るというか、風合いが良くなってきますよね?これはどういった原理なのでしょうか?」
白潟さん:「もちろん革の種類にもよりますが、物理的には、表面が擦れてツヤが出たり、使用に応じて革そのものが馴染んで柔らかくなったりすることによって、風合いが出てくるのだと思います。果たして『味』という言葉で表現するのが正しいかは分かりませんが、ちょっとした小キズや使い手のクセによる湾曲など、いろんな要素が混ざり合って、自分だけのオリジナルになっていくのだと思います。」
酒井:「なるほど、聞けば聞くほどに『革』って『バイク』との共通点が多い気がしますね。」
白潟さん:「ただし、勘違いしないで頂きたいのは、適切なメンテナンスを行わずに使いっぱなしにしていて生まれるのは、単なる『汚れ』や『傷み』です。しっかりメンテナンスをしてあげて、大切にしている革製品には、『愛着』や『親近感』といった感情も生まれますよ。まぁ、この点も『バイク』と同じですね。」
酒井:「そうなのですね。確か革工房Parleyの公式サイトでも、メンテナンス方法やメンテナンス用品が紹介されていたかと思いますので、参考にさせて頂きます。」
白潟 篤 × Harley‐Davidson
酒井:「さて次に白潟さんの愛車のことについてお聞きしたいと思うのですが、白潟さんはハーレーダビッドソンにお乗りなのですよね?」
白潟さん:「ええ、ダイナ・ローライダーに乗っています。」
酒井:「おぉ!最高にカッコイイですね!」
白潟さん:「現在は、ステーをワンオフで作ってドラッグバーを装着しているのですが、エイプハンドルにしていた頃の写真をご覧頂くと、少し印象が違うかもしれませんね。」
酒井:「どっちもカッコイイです!笑。ところで白潟さん、実はちょっと興味深いエピソードを小耳に挟んだのですが、『Parley(パーリィー)』の名付け親は白潟さんが工房を始めた当時(1985年)2歳だった白潟さんのご長男だというのは本当ですか?」
白潟さん:「本当ですよ。ある日、うちの長男が意味も無く『パーリィー!』と叫んだのですが、何となく『ハーレー!』に響きが似ていたこともあり、採用することにしたのです。」
酒井:「『パーリィー…パーリィー…パーリィー…ハーレー…』確かに響きが似ていますね!笑。これが今から30年前の出来事ということは、当時からハーレーダビッドソンにお乗りだったのですか?」
白潟さん:「いいえ、ハーレーは今のダイナ・ローライダーが1台目です。今でこそ、価格の抑えられた車種設定があったり、若くてもローンで購入することができたりと、少し敷居が下がった印象ですが、当時のハーレーは『高嶺の花』、バイク乗りの憧れでしたからね。私自身、バイクはずっと好きでしたので、BMWからオフロードまで、本当に様々なバイクに乗ってきました…今思えばバイク歴はもう40年以上になりますね。」
酒井:「40年以上ですか!大先輩ですね。そんな数々のバイクに乗ってこられた白潟さんにズバリお聞きしたいのですが、ハーレーってやっぱり『良い』ですか?」
白潟さん:「良いですよ!機能的な良さやデザイン的な良さなど色々とあるのですが、分かりやすい例えをお伝えすると、ツーリングから自宅に帰ってくるとしますよね?国産車でもBMWでもDucatiでも、私がこれまで乗ってきたバイクだと『やっと着いた。風呂入ってビールでも飲むか!』ってなる訳ですよ。でもね酒井さん、ハーレーというバイクは『もう自宅に着いちゃった…もう少し乗っていたい!』という感覚にさせてくれるのです。」
酒井:「何と!?そこまで言われてしまうと欲しくなってしまいますね!笑。さて本来はここで愛車の拘りポイントやカスタム内容などについてお聞きするのですが、白潟さんには、ぜひ『革(レザー)アイテム』のことをお聞かせ頂きたいと思います。」
白潟さん:「分かりました。私が愛車に使用している革(レザー)アイテムは、ワンポイントの小物やグリップカバーなど、時期や気分によって様々ですが、一番のお気に入りは、このサドルバッグですね。」
酒井:「おぉ!ワイルドですねぇ!」
白潟さん:「パーリィーのサドルバッグには、フィンランドエルク(エルク=ヘラジカと呼ばれる鹿の一種)の革を使用していて、極寒のフィンランドで生き抜いたこの革は、極厚でふっくらしており、かつ、肌に吸い付くような柔らかさもあり、非常に素晴らしい素材なのです。そして、自然を生き抜いてきたフィンランドエルクの革には、天然の『キズ』が多数あり、このワイルドな『キズ』をそのままに、革をダイレクトに感じるシンプルな加工にしてありますので、同じ製品でも個性が生まれます。同じ『キズ』は2つとありません!『キズ』こそデザインなのです!」
酒井:「なるほど。先ほどの使い込むことによって生まれる革の表情とはまた少し違って、素材として表情を持つというのも、『革』の魅力のひとつですね。」
白潟さん:「えぇ。自然の素材、ハンドメイド、そして使い込むことによる風合い!手前味噌ですが、パーリィーの革製品は最高ですよ!ただ…。」
酒井:「ただ??」
白潟さん:「ただ、エルクレザーのサドルバッグは、ちょっと人気があり過ぎて生産が追いついておりません…。秋頃から順次販売予定ですので、いましばらくお待ち下さい。」
酒井:「そう言われると、ますます欲しくなってしまいますね!笑。革工房Parleyの工房直販サイトには、このサドルバッグ以外にも魅力的なバイカーズアイテムが多数紹介されていますので、ぜひ皆様もチェックしてみてください。」
白潟さんの愛車データ
メーカー:Harley‐Davidson
車種:FXDL DYNA LOW RIDER
年式:2005年
排気量:1,449cc
酒井コメント:ハーレーはノーマルのスタイルが格好良い!と仰る白潟さんらしく、シンプルにカスタムされた格好良いバイクですね。ロングストロークのV型ツインエンジンがもたらす独特の鼓動感など、ハーレーというバイクには、乗った人にしか分からない魅力が沢山詰まっているのでしょうね。私もいつか…。
革職人 × Harley‐Davidson
酒井:「白潟さん、本日は貴重なお話をお聞かせ頂き有難うございました。」
白潟さん:「こちらこそ、有難うございました。仕事の取材を受けることは多いですが、自分のバイクのことについて取材を受ける機会はそうそう無いので、楽しかったですよ。」
酒井:「有難うございます。そう言って頂けると嬉しいです。それでは最後にお聞きします。革職人 白潟篤さんと愛車ハーレーダビッドソンとは、どういった関係性だと思いますか?」
白潟さん:「敢えて言うなら、『男と女の関係』ですかね?もちろん変な意味ではなくて、私の中では、バイクの美しさと女性の美しさが重なるのですよ。特にハーレーというバイクは後姿のシルエットが美しく、リアフェンダーやサスペンションのラインなどは、女性の美しさそのものだと思います。」
酒井:「なるほど、確かにハーレーのデザインって、他のメーカーにはない独特な良さがありますよね?」
白潟さん:「ええ!ハーレーのデザインの何がカッコイイかと言うと、『まとまっていないところ』『バラつきがあるところ』なのですよ。最近の国産バイクなどは、デザイナーさんの手によって全体的にスキなくピシッとデザインされていて、とてもキレイで頭が下がります。一方で、ハーレーのデザインはと言うと、『えっ?そんなところに隙間があるの?』と驚くことがあるくらい、良い意味での『雑さ』があるのです。そして、この『雑さ』がまた良いんですよ。私は以前、10日間ほどアメリカの広大な大地をハーレーのウルトラで旅したことがあるのですが、デザイン的な要素だけでなく、アメリカ人がこのハーレーダビッドソンというバイクを作った理由が分かりました。敢えて細かい話はしませんが、酒井さんも機会があれば、ぜひアメリカの大地を走ってみて下さい。きっと、良い経験になりますよ。」
酒井:「何だか、ハーレーらしくスケールの大きなお話ですね!私も白潟さんのようなバイカー(ライダー)に近づけるよう、これからもバイクを愛していきたいと思います。白潟さん、本日は有難うございました。」
写真:バイカー 白潟 篤さん(先ほどの写真と同一人物です!笑)
革工房Parley(パーリィー)のご紹介
社名:革工房パーリィー/株式会社パーリィー
所在地:東京都練馬区上石神井1-11-10
電話 :03-3920-3850
FAX :03-3920-3886
創業(設立) :昭和60年10月(昭和63年12月1日)
代表者: 白潟 篤
事業内容:オリジナルの革製品の企画・製作、卸、及び販売
商品販売先: 東急ハンズ/ユザワヤ/ジョイフル/ビバホーム/その他各種専門店
公式サイト:http://parley.co.jp/
工房直販サイト:http://shop-parley.com/