個人事業を営んでいる方にとって、去る3月31日(火)は、消費税の申告期限でした。
そして、この時期に急増するのが「消費税に関するお問い合わせ」と「私の体重(繁忙期によるストレスと運動不足でしょうか…)」です!笑
特に今年は「オイル交換・タイヤ交換の消費税事業区分」に関するお問い合わせが妙に多かった気がします。
そこで今回は、以前の記事「2014.10.21消費税の簡易課税制度と自動車業界」の中でもご紹介させて頂きましたが、この「オイル交換・タイヤ交換の消費税事業区分」にだけ再びスポットを当てて、その取扱いをご紹介したいと思います。実務家の方も必見です。
オイル交換・タイヤ交換には2種類に売上げが存在する
ひと言で「オイル交換」「タイヤ交換」といっても、その内容を項目ごとに分けると、種類の異なる2つの売上げが存在することになります。
その一つは、「オイル・タイヤの販売代金」という売上げで、卸売業または小売業(第1種事業または第2種事業)に分類されるものです。
そして二つ目は、「オイル・タイヤの交換工賃」という売上げで、サービス業(第5種事業)に分類されるものです。
「販売代金」と「交換工賃」は分けて考える
前述のとおり、「販売代金」と「交換工賃」は種類の異なる売上げとなりますので、簡易課税制度における消費税申告の為に事業区分毎の課税売上高を集計する際には、分けて考える必要があります。
つまり、「販売代金」部分は第1種事業または第2種事業として、「交換工賃」部分は第5種事業として集計することになります。
勘定科目を分けて管理する
消費税申告書を作成する際には「販売代金」と「交換工賃」を分けて集計する必要があることは、お分かり頂けたと思いますが、これを1年分まとめて集計する作業は案外大変です。特に、全ての売上げを「売上高」と1つの勘定科目で管理されている事業主さんは、 大変な負担を強いられることになるでしょう。
そこで弊所では、特に簡易課税制度を選択されている事業主さんには、売上に係る勘定科目を細分化するよう、指導させて頂いております。
例えば、オイル・タイヤの販売代金については「物品売上高」、オイル・タイヤの交換工賃については「サービス売上高」といった具合です。
そうすることによって、勘定科目で既に消費税の事業区分が分けて集計されているので、消費税申告の際には、殆ど集計に手間が掛からないのです。
工賃込みの場合には要注意
「販売代金」と「交換工賃」が区別されていない、いわゆる「工賃込み」での売上げは、その全額が第5種事業として取り扱われることになります。
そう、「販売代金」まで第5種事業として取り扱われるということは、消費税の納税額が多くなってしまうということですね。
オイル・タイヤ交換に係る売上高の占める割合が大きい事業者さんは特に、お客様への請求内容に注意する必要がありますね。「工賃込み」は禁句ですよ!
整備や修理に伴う部品代金は、全て第5種事業です!
今回のお話は、オイル・タイヤ交換といった商品の販売と工賃を合わせて請求する様なケースを前提としており、整備や修理に伴って部品代金を請求するケースには当てはまりませんので注意して下さい。
整備や修理に伴う部品代金は、その金額を区分して請求書に記載していたとしても、その部品代金も含めて全体が第5種事業として取り扱われますので、お間違いの無いようお願いします。