一人くらい税金を払わなくても誰も困らないって…
コロナと税金
新型コロナウイルスの出現は、世界中の人々の暮らしに多大な影響を及ぼしましたが、それと同時に我が国では、政府が行った様々な経済対策に関する「税金の使い道」について、しばしば議論されることとなりました。
血を搾られるような苦労をして納める税金のことを「血税」と表現することもありますが、今回は私たちが納めているこの血税(税金)の本来の意義や役割について再確認していきたいと思います。
税金はなぜ必要?
国や地方公共団体(都道府県、市区町村)では、私たちが「健康で文化的な生活」を送ることができるよう、様々な「公共サービス」や「公共施設」を提供しています。
しかし、これらの公共サービスや公共施設を運営するためには、多くの費用が必要になり、その費用をみんなで出し合って負担しているものが「税金」となります。
すなわち、私たちが納める税金は、私たち自身の暮らしを豊かにするために使われる活動の財源であり、いわば私たちが社会で生活していくための「会費」に似た性質を有しています。
税金が無い世界
それでは、もし「税金」という仕組みがなかったら、私たちの暮らしはどうなるのでしょうか?
まず、私たちの税金で運営されている「公共サービス」は全て有料となるでしょう。救急車には料金メーターが取り付けられ有料化、消防車ももちろん有料化、燃えるごみや資源ごみの収集も有料化、医療費は全額自己負担、交番で道を尋ねても料金が発生するはずです。
そして、「公共施設」も無くなるので、市役所や市民病院、公園や公立の小中学校、そして信号機までもが姿を消すことになるでしょう。
私たちが日々の生活の中で「あたりまえ」に利用しているサービスや施設は、実は「税金」によってもたらされているのものなのです。
税の不公平
我が国の税金は、全国民一律ではありません。
例えば、扶養する家族が多い場合やご自身や扶養親族が障害者である場合などには、一定の控除を受けることができる制度があったり、所得が高ければ高いほど税負担が大きくなる仕組みになっていたりします。
これまでは、この「一律ではない」ことに関して、問題視されるケースは少なかった訳ですが、コロナ禍において日本政府が打ち出した経済政策の一部が「税負担の低い人や世帯にのみ給付金を出す」という内容であったことにより、日ごろ多くの税金を納めている方々の不満が爆発しました。
豊かな未来のために
自分たちが暮らす国の税制(税金の仕組み)に対して不平不満を持つことは、とても重要なことです。
しかし、ただ文句を言うだけではなく、税制に関心をもって、仕組みを正しく理解し、私たち一人ひとりが豊かな未来のために「公平」な税負担と、「公平」な給付について、しっかりと考えていくことが大切です。
そして、この「一人ひとり」の中には、サラリーマンや自営業者だけでなく、全ての国会議員・地方議員、そして内閣総理大臣も当然含まれるべきだと私は考えます。
コラム説明
この記事は、自動車流通新聞(グーネット自動車流通)さんで連載しているコラムの内容を転載したものです。
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