目標売上高は純利益から逆算して設定するって…
目標売上高の設定
中古車販売業においては、店舗ごとあるいは会社全体で売上目標を設定することは非常に重要なことです。
販売部門の立場では「月間販売(登録)台数●●台」といった台数ベースでの目標設定でも問題はありませんが、やはり経営者サイドからは目標を「数値化」したいところです。
そこで今回は、最もシンプルで中古車販売業に適していると思われる目標売上高の設定方法についてご紹介します。
変動費と固定費
正しい目標売上高を設定するうえでは、支出費用を「変動費」と「固定費」に分けて考える必要があります。
変動費とは、売上に比例して増減する費用のことで、中古車の仕入原価や、整備の外注費などがこれにあたりますが、営業マンに対して歩合給を支給している場合には、これも変動費となります。
一方、固定費とは、売上に関係なく一定額発生する費用のことで、展示場の家賃や固定給部分の人件費、そして設備の減価償却費などがこれにあたります。
なお、売上高から変動費を差し引いたものを「限界利益」といいます。
目標売上高の設定方法
損益計算書を作成する際には、売上高からスタートして、売上原価や販管費などを差し引いて最終的な純利益を計算しますが、目標売上高の設定は、目標とする純利益を決めるところからスタートします。
次に、その純利益に固定費を加算することによって、確保すべき限界利益を算出します。
そして最後に、その限界利益を「限界利益率」で割り戻すことによって目標とする売上高を導くのです。
[目標売上高の計算プロセス]
・純利益+固定費=限界利益
・限界利益÷限界利益率=目標売上高
なお、限界利益率は、売上高に占める限界利益の割合を言いますが、過年度の実績などからその割合を把握すると良いでしょう。
逆算の考え方
いきなり「●●万円を売るぞー!」「昨年比10%アップを目指すぞー!」と根性論で目標売上高を設定しても、それは根拠のない目標となってしまいます。
ポイントは「純利益と固定費を賄うためには、どれだけ売上を上げれば良いか」という〝逆算〟の考え方をすることです。
更に、目標売上高の計算要素となる「固定費に無駄が無いか」、「限界利益率を高める余地が無いか」などについても同時に検討されると尚良いでしょう。
コラム説明
この記事は、自動車流通新聞(グーネット自動車流通)さんで連載しているコラムの内容を転載したものです。
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