従業員への表彰金は税金の対象にならないって…
表彰金と課税
中古車販売店では営業成績などに応じて従業員に表彰金を出すケースが多いと思います。
毎月の給与に加算されている歩合給については、基本給や他の手当と合わせて給与明細書内で課税されているので何ら問題はありませんが、毎月の給与とは別に現金で表彰金を手渡しするようなケースでは、何となく税金が課税されないと思っている方も多いのではないでしょうか?
しかし、従業員という立場で勤務に関連して受け取る表彰金や物品は、原則として毎月の給与と同じように「給与課税」の対象となり、会社側としては源泉徴収する義務がありますので、注意が必要です。
永年勤続者の記念品
従業員への表彰金は原則として給与課税の対象となりますが、例外として給与課税されないケースもあります。
例えば、永年勤続した役員や従業員に対して、表彰として記念旅行や記念品など(金銭を除く)を支給するケースで、次の2つの要件を満たす場合には、給与課税の対象にはなりません。
①表彰として支給する記念旅行や記念品などの額が勤続期間などに照らし、社会通念上相当であること。
②表彰が、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象としていること。
(2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われていること。)
社内提案報奨金
ここ数年、前述の表彰金の他、「社内提案報奨金」制度を導入されている販売店も増えてきました。
これは従業員から業務改善や品質改善、経費削減などにつながるアイデアを募集し、採用された提案をした従業員には報奨金を出すという制度です。
従業員のモチベーションアップだけでなく、従業員一人ひとりが企業経営の意識を持つことで企業全体のモチベーションアップも期待できますので、ぜひその導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
なお、この報奨金は、支給する会社側では経費扱いとなる訳ですが、支給される従業員側では、その立場や提案内容によって取り扱いが異なります。
①提案の内容が通常の職務範囲内である場合
→ 給与所得として課税
②提案の内容が通常の職務の範囲外である場合
→ 一時所得または雑所得として課税
経済的利益
企業に勤める従業員は、給与や賞与以外でも会社から受給しているモノが沢山あります。
例えば、昼食のお弁当が支給されたり、自社商品を割引で購入することができたり。
これらは全て「経済的利益」と呼ばれ、従業員の立場からは「お得」な状況となるものです。
こうした「経済的利益(お得)」を従業員が享受した場合には、それが税金の対象になるかどうかを検討する必要があります。
具体的な判断は税理士や税務署と相談して決めることとなりますので、もし日々の経営の中で「お得」が発生した場合には、必ず顧問税理士や所轄税務署に確認するようにしましょう。
コラム説明
この記事は、自動車流通新聞(グーネット自動車流通)さんで連載しているコラムの内容を転載したものです。
自動車販売店の経営者や実務担当者が抱く経営・経理・税金に関する様々な疑問について、自動車業界専門の税理士が解説しておりますので、他のコラムをご覧になりたい方は、下記URLより一覧でご確認頂けます。
中古車販売店「経営実務」のウソ?ホント?
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