節税の仕組みは意外とシンプルって…
節税と脱税の違い
今回は「節税」の基本的な考え方についてご紹介したいと思いますが、まずはこの「節税」という行為とニュースなどで耳にする「脱税」という行為の違いについてご説明します。節税をすることに後ろめたい感情を抱く方もいらっしゃると思いますが、節税はあくまでも決められた範囲内で税負担を軽くする行為です。その決められた範囲を逸脱して税金額を減らそうとする行為である「脱税」と違って何ら問題のない行為なので堂々と行って良いのです。私は「節税とは、税制に違反しない範囲で税金を払い過ぎないようにすること」と定義付けています。なお、「正しく経費を増やす方法」や「特例制度や優遇制度を活用する方法」なども、広義に捉えて「節税」に分類されることがあります。
基本は税率差の活用
節税の基本は、税率差を活用することです。税金は、「所得(もうけ)×税率」で計算されますので、営業活動から生み出される所得が同じである場合には、可能な限り低い税率で課税させることで税負担を低く抑えることができるという訳です。
所得を分散させる
税率差の活用方法として、最も一般的な方法は「所得分散」です。所得分散とは、その名のとおり所得を分散させることをいいます。個人事業主が稼いだ所得を配偶者に専従者給与として支給する方法などが一般的です。なお、所得の分散先は必ずしも個人である必要はなく、法人も所得分散先となり得ます。つまり、良く耳にする「法人化」も「所得分散」の一例であるといえます。
課税を繰り延べる
本来課税されるべき所得を、いま課税されると高い税率が適用されてしまうので、適用税率が低くなると見込まれる時期まで先送りすることを「課税の繰り延べ」といい、生命保険や各種共済制度の活用がその代表例です。なお、課税時期を先送りすることで、他の節税対策が立て易くなるというメリットも生じます。
節税すべきでない場合
節税をするということは、その年(事業年度)の「所得(もうけ)」を減らすことになり、節税のやりすぎは財務体力の低下を招く恐れがあります。開業後間もない場合や、事業拡大局面においては、過度な節税を避け、しっかりと納税をして財務体力の強化に努めることをお勧めします。数ある節税手法の中から自店の現状や経営方針にあった方法を計画的に組み合わせて行うことこそが、節税の最大のポイントなのです。
コラム説明
この記事は、自動車流通新聞(グーネット自動車流通)さんで連載しているコラムの内容を転載したものです。
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