決算月は自由に決められて、後から変更してもOKって…
決算月は自由に決められる
会社の決算が行われる月を「決算月」といいますが、我が国では決算月を3月または12月としている会社が全体の約3割を占めており、中古車販売店の場合も例外ではありません。しかし、この決算月は会社が自由に決めることができるため、年度末や年末といった節目に拘る必要は全くありません。そこで今回は、この決算月を決める際のポイントや決算月の変更手続きについてご紹介します。
決算月と設立日
会社を設立する際には必ず決算月を決める必要がある訳ですが、例えば2月25日が設立日である会社が、決算月を3月に設定した場合、設立から2ヵ月も経たないうちに、いきなり決算をすることになってしまいます。そのため、設立時に決算月を決める際には、会社設立日から1年を超えない範囲で、できるだけ遠くなる様に決算月を選ぶと良いでしょう。
決算月と繁忙期
決算月というのは、棚卸業務や決算書作成の準備など、何かとバタバタしてしまいます。よって、落ち着いて決算業務を行うためには、中古車市場が冷え込む時期を狙って決算月を選ぶと良いでしょう。二八(にっぱち)などという言葉がありますが、一般的な小売業の会社が2月や8月を決算月としているのは、このためです。
決算月と税理士
決算申告業務を税理士に依頼する場合には、その税理士事務所の繁忙期は避けて決算月を選ぶと良いでしょう。特に個人事業主の確定申告時期と重なってしまうと、迅速な対応を得ることができないケースや、そもそも依頼を引き受けてもらえないケースがあります。事実、私の事務所では、サービス品質の低下を防止するため、受注制限をしている決算月があります。
決算月の変更
会社設立時に決定した決算月は、いつでも変更することができます。また、会社の事業年度は登記事項ではありませんので、法務局に変更登記の申請をする必要もありません。具体的には、臨時株主総会を開催(同族会社などでは議事録だけ作成するケースが殆ど)して定款を変更し、所轄税務署に異動届を提出するだけで、決算期変更ができてしまいます。なお、ここでの詳しい解説は割愛しますが、決算月を変更することで節税対策を行うことができたり、その一方で、その変更に合理的な理由がない場合には税務否認を受ける可能性があったりと、税務的な論点が絡んできますので、決算月の変更は必ず税理士に相談のうえ実行するようにして下さい。
コラム説明
この記事は、自動車流通新聞(グーネット自動車流通)さんで連載しているコラムの内容を転載したものです。
自動車販売店の経営者や実務担当者が抱く経営・経理・税金に関する様々な疑問について、自動車業界専門の税理士が解説しておりますので、他のコラムをご覧になりたい方は、下記URLより一覧でご確認頂けます。
中古車販売店「経営実務」のウソ?ホント?
http://www.mn-tax.jp/garage/goonet