税抜経理でも税込経理でも結果は同じって…
中古車販売業と軽減税率
中古車販売業は、一般的な小売業と比べて取引単価が大きいので、販売台数が少ない店舗でも、消費税の課税事業者になるケースが多いと思います。消費税の課税事業者は、日々の経理を〝税抜経理〟と〝税込経理〟のどちらで行うか選択する必要がありますので、どのような違いがあるのか確認しておきましょう。
なお、令和元年10月1日から消費税率が10%に増税されたことに伴いスタートした軽減税率制度については、中古車販売業に直接影響する項目はありません。販管費に係る支出で軽減税率が適用される取引についてのみ注意が必要です。
最終損益は同じになる
税抜経理では、消費税部分を除いた純粋な取引金額で損益を把握します。一方、税込経理では、取引金額を税込金額で計上し、決算時に消費税の納付税額を経費として控除して損益を把握することになります。両者のアプローチは異なりますが、税抜経理と税込経理は、どちらを採用しても、最終的に計算される損益は同じになります。具体的な金額で確認してみましょう。
例えば、660千円(税込)で仕入れた車両を1,100千円(税込)で販売したとします。この場合の消費税額は40千円(100千円-60千円)です。
税抜経理の場合は「税抜売上1,000千円-税抜仕入600千円」と計算し、400千円の利益が算出されます。一方、税込経理の場合は「税込売上1,100千円-税込仕入660千円-消費税額40千円」と計算し、同じく400千円の利益が計算され、両者の最終損益は全く同じになるのです。
メリットとデメリット
前述の通り、税込経理の場合には、決算時に消費税の納付税額を計上して初めて最終損益が算出されますので、期中における業績把握の観点からは、税抜経理に軍配が上がります。ただし、税抜経理では、在庫車両の棚卸高なども全て税抜金額で管理・把握する必要があるので、中古車販売業においては、税込経理の方が実務上の負担は少なくなります。
経理レベルや管理レベルは店舗ごとに様々ですので、各処理方法のメリットとデメリットをご参考頂き、顧問税理士などとも相談のうえ、自店に合った経理処理を選ぶと良いでしょう。
コラム説明
この記事は、自動車流通新聞(グーネット自動車流通)さんで連載しているコラムの内容を転載したものです。
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中古車販売店「経営実務」のウソ?ホント?
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