営業マンは税金のアドバイスをしたらダメって…
クルマを買ってもらったら
私が生まれて初めてマイカーを購入したのは18歳のときで、16歳からアルバイトをしてコツコツと貯めたお金で念願のマイカー(中古車)を手に入れた喜びを今でも覚えています。しかし、当時の友人の中には両親や祖父母にクルマ(新車)を買ってもらっている人もいて、当時の私はただ羨むばかりで「クルマなどの高価なモノを買ってもらった場合には、税金が発生する可能性がある」という事実を知る由もありませんでした。
贈与税の考え方
税金には様々な種類(税目)がありますが、その中の1つに「贈与税」と呼ばれる税金があります。この贈与税は、その名のとおり「財産の贈与を受けた人に課される税金」で、その年に貰った財産の合計額から110万円を控除した額に10~55%の税率(財産額に応じた累進税率)を乗じて計算されます。つまり年間110万円を超える財産を貰った場合には、贈与税が発生することになります。
クルマも贈与税の対象
贈与税の対象となる財産には、お金だけでなく不動産やクルマなども含まれます。よって、両親や祖父母などにクルマを買ってもらった場合には、買ってもらった側に贈与税を納める義務が生じるのです。そこで、クルマの登録名義をお金を出す人(両親や祖父母)にするなど、贈与にならないための工夫が必要となります。
営業マンの対応
お客様が親子で来店して「代金は親が支払い、登録名義は子供」という注文は良くあるケースだと思いますが、前述のとおり、この注文形態は贈与税が発生する可能性があります。しかし、営業マンは「余計な口出し」をしてはなりません。実は、税理士以外の人が〝具体的な〟税金のアドバイスを行うことは禁止されているのです。あくまでも〝一般論として〟税制の説明をする程度であれば問題ないとは思いますが、あまり深入りしないように注意しましょう。
節税のための中古車
「中古車を買うと節税になる」というのは良く言われていることですが、自営業の方に中古車を販売する際に「節税メリット」を前面に出すような営業手法も、やはり違法となります。この場合も〝一般論として〟中古車の減価償却の仕組をお伝えする程度であれば問題ないとは思いますが、〝具体的な〟節税アドバイスをしてはいけません。あくまでもセールストークの範囲に留め、一線は越えないよう注意しましょう。
コラム説明
この記事は、自動車流通新聞(グーネット自動車流通)さんで連載しているコラムの内容を転載したものです。
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