部門別管理には落とし穴があるって…
手を出すべきか否か
会社の損益(もうけ)は、通常その会社単位で計算するものですが、中古車販売店に整備工場が併設されている場合や、複数の店舗を運営している場合には、販売部門と工場部門それぞれの損益や店舗ごとの損益を把握することも重要です。そこで今回は部門別管理の方法をご紹介したうえで、そのデメリットについても言及しますので、「部門別管理に手を出すか否か」の判断をされる際の参考になさって下さい。
部門別管理のやり方
部門別管理の最も効率的なやり方は、会計ソフトの部門別管理機能を活用し、部門別損益計算書を作成することです。なお、部門別管理機能とは、会計データを入力する際に、勘定科目と取引金額に加えて、事前に設定しておいた部門名を入力することにより、部門ごとの損益計算書を自動作成することができる機能です。
経営指標のための調整
会計ソフトで計算した部門別損益は、そのままでは経営指標として活用することができません。経営指標として活用するためには、会計ソフト上で計算した部門別損益をベースとしながらも、「店舗毎の比較条件の調整」「間接費の配分」「部門間売上の認識」など、調整をしなければならない項目がいくつもあり、これらの調整項目は、その販売店の実態に合わせて内容を検討する必要があります。
諸刃の剣
前述のとおり、部門別管理を行って経営指標として適正な部門別損益を把握するためには、会計ソフトに正しく入力するだけでなく、様々な調整が必要となります。部門別損益という経営指標は、正しい数字を導くことができれば、非常に有用な存在となりますが、きちんとした準備をせずに中途半端な部門別管理を導入すると、かえって混乱を招く結果となり、重大な経営判断ミスを引き起こしかねません。
肩の力を抜いて
経営判断に必要な情報は何なのか、いま一度考えてみて下さい。本当に「ガチガチの部門別管理」によって作成された資料が必要でしょうか?もっと肩の力を抜いて作成された「大枠を体系的に捉えた資料」の方が全体像を把握しやすいということはありませんか?繰り返しとなりますが、中途半端な部門別管理はマイナス要素しかありません。経営者は、具体的にどんな数字を把握したいのかを良く考え、経理スタッフともコミュニケーションをとりながら部門別管理を導入するか否かを慎重に検討する必要があります。
コラム説明
この記事は、自動車流通新聞(グーネット自動車流通)さんで連載しているコラムの内容を転載したものです。
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中古車販売店「経営実務」のウソ?ホント?
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