自動車業界の税務ポイント

第14回:「相当額」という言葉には注意が必要ってウソ?ホント?


「相当額」という言葉には注意が必要って…

間違いやすい自動車税

中古車販売店の経理処理で間違いが多い項目ランキングがあったとすると確実にトップ3には入るであろう「自動車税」に係る経理処理ですが、これを正しく理解するうえで非常に重要となってくるのが「相当額」の考え方です。そこで今回は、この「相当額」の基本的な考え方について、月割自動車税を例にして整理してみたいと思います。

注文書と自動車税

中古車を販売する際には、月割自動車税をお客様から受け取る慣習がございます。中古新規登録の際に必要な自動車税をお客様から預かるケースでは、注文書の内容を振替伝票で入力する際に「預り金」で処理しておいて、登録時に納付した際に当該「預り金」を取り崩せば良いだけなので、とてもシンプルで間違えることはないでしょう。注意すべきは、月割自動車税を受け取ったにも関わらず、その代金はどこにも納めずに、いわゆる貰い得になるケースです。これは例えば車検が残っている中古車を販売した際などに起こります。この月割自動車税は、自動車税として預かった訳ではなく、「自動車税相当額」という名目で受け取った代金であり、お客様からの「預り金」ではなく、「車両売上」の上乗せ分として取り扱います。

精算書と自動車税

オートオークションのオークション精算書には「自税相当額」という項目があるのをご存じかと思いますが、これは「自動車税相当額」を省略させた表示で、その考え方は前述の注文書に記載した「自動車税相当額」と全く同じです。オークション仕入で「自税相当額」欄に金額が入っているときは、「車両仕入」の上乗せ分として取り扱います。

相当額の見分け方

日々の実務において受け取り、または支払う自動車税が、本来の自動車税なのか「自動車税相当額」なのか、処理方法に迷ってしまった場合には、お金の流れを冷静に考えてみることをおすすめします。本来の自動車税に係るお金の流れは、必ず登録時に納付されて完結します。もし、そのお金の流れが受け取った側でストップした場合、それは「自動車税相当額」であると言えます。自動車税に限らず、中古車販売に係る経理処理で迷いが生じた場合は、お金の流れを順番に追いかけていくことで自ずと答えが見つかるはずです。

コラム説明

この記事は、自動車流通新聞(グーネット自動車流通)さんで連載しているコラムの内容を転載したものです。
自動車販売店の経営者や実務担当者が抱く経営・経理・税金に関する様々な疑問について、自動車業界専門の税理士が解説しておりますので、他のコラムをご覧になりたい方は、下記URLより一覧でご確認頂けます。

中古車販売店「経営実務」のウソ?ホント?
http://www.mn-tax.jp/garage/goonet


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