広告のための支出は全て経費になるって…
広告宣伝費と税務
中古車販売店の経営において、「広告」という行為はとても重要です。しかし、広告のための支出だからといって、何でもかんでも「広告宣伝費」として経費処理してしまっては、大きな落とし穴にはまってしまう恐れがあるのです。そこで今回は、この広告行為に関連する支出について、その税務上の取り扱いをご紹介したいと思います。
広告宣伝費とは
不特定多数の者に対する宣伝効果を意図した支出を広告宣伝費といい、税務上は〝原則として〟支出時の経費として取り扱われます。ここでポイントとなるのが、『不特定多数の者』というキーワードです。つまり『特定の者』に対する支出は、宣伝効果を意図したものであっても、広告宣伝費ではなく交際費となる可能性があるので注意が必要です。
様々な広告宣伝費
中古車販売店では、雑誌広告への掲載費用や各種パンフレットの作成費用のほか、成約特典品の購入費用などが広告宣伝費に該当します。また、店舗名を入れたカレンダーや手帳などを配布目的で作成する費用も広告宣伝費として取り扱われます。
資産計上すべきもの
広告宣伝費は〝原則として〟支出時の経費として取り扱われることは前述の通りですが、例外的に資産計上しなければならない場合があります。その中でも、中古車販売店に関する広告支出では、次の3つを押さえておくと良いでしょう。
(1)期末未使用品
広告パンフレットなどを制作した際、期末時点で未使用のものがある場合には、「貯蔵品」として資産計上します。
(2)長期掲載広告
長期契約で雑誌広告料などを前払いした場合、翌期以降に対応する部分は、「前払費用」として資産計上します。
(3)有形固定資産
店舗看板などを製作・購入した場合で、その支出が10万円以上のものは「工具器具備品」などの有形固定資産として資産計上します。
以上、ここでは概要をご紹介しましたが、決算時には必ず税理士等に相談のうえ、各種特例の活用も含めた処理方法を検討するようにして下さい。
コラム説明
この記事は、自動車流通新聞(グーネット自動車流通)さんで連載しているコラムの内容を転載したものです。
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