私たちの事務所では、年末調整や法定調書の作成業務をご依頼頂く場合には、源泉所得税の管理もその業務範囲に含まれるので、毎年6月に入ると「源泉所得税(納期の特例分)」の集計業務を開始し、6月末頃を目処にお客様に納付書をお渡ししたり、クレカ納付の情報をお伝えするようにしています。
もちろん、自社で源泉所得税に関する業務を行っているお客様も数多くいらっしゃる訳ですが、源泉所得税に関する業務には、間違いやすい部分がいくつかございます。
そこで今回は、法人経営されている中古車販売店さんが、源泉所得税の実務において注意すべきポイントについてご紹介したいと思います。
特例対象外の源泉所得税
源泉所得税には、その税金を半年分ずつまとめて納付できるという「納期の特例」という制度があります。しかし、この特例の対象となるのは、「給与」や「税理士等の報酬」に係る源泉所得税のみであり、例えばライターさんに支払った「原稿料」に係る源泉所得税などは、納期の特例は適用されず、原則どおり毎月納付が必要となるので注意が必要です。
写真:給与、税理士報酬等で使う納付書
写真:原稿料等で使う納付書
行政書士報酬と源泉所得税
自動車登録の際に代書などを行政書士さんに依頼されている方は多いと思います。
この場合の行政書士報酬は、税理士等の報酬と同じ扱いであると誤解されやすい項目ですが、源泉徴収をする必要はありません。
中古車販売店さんの実務に携わっておりますと、行政書士さんへの支払いは非常に件数が多いので、タイトルにも記載しましたが、行政書士報酬が源泉対象外で本当に良かったと思います。
請求書に記載がない場合
原則として源泉徴収義務は、その支払をする側(お店側)にあります。つまり、先方からの請求書に源泉所得税の記載がなかったとしても、支払側が源泉徴収をすべきか否かを判断する必要があります。
つまり、
「請求書に源泉所得税の記載がなかったので、源泉しませんでした♪」
なんて言い訳は通用しませんので、注意が必要です。
気付いたら即納付
源泉所得税の納付漏れや納付遅れに対するペナルティは、他の税金と少し異なり、その納付納付期限から1日でも遅れてしまった場合には、「不納付加算税」という罰金が追加で課されてしまいます。
しかし、税務署から指摘を受ける前に自ら気付いて納付した場合や、一定の要件に該当する場合には、この不納付加算税が軽減・免除される救済規定がございますので、納付漏れに気がついたら、すぐに納付するようにしましょう。
以上、全ての業務は事前準備が大切となりますので、皆様もぜひ早めの準備を心掛けて下さい。