前回の記事では、在庫管理に係る税務調査のポイントについてご紹介しましたが、具体的にどのような手順で在庫管理に係る税務調査が行われるのか、今回はその流れをご紹介したいと思います。
1.ヒアリング
まず始めに、在庫の管理体制について、経営者または担当者に聞き取り調査を行います。ここで、どの様な項目を在庫として計上しているか、どの様な資料で在庫を管理しているかなど、その販売店の管理体制を概ね把握しますので、この段階で調査の8割は完了したといえます。
もちろん、販売店の回答に不審点があった場合は、その後の調査過程の中で、その部分を重点的に調査します。
2.管理表と原始記録の確認
次に実際の管理表と原始記録を調査します。具体的には、販売店が作成している棚卸表とオークション精算書や買取・下取契約書などの原始記録を確認し、その整合性などを調査します。
3.期末日前後の売上・仕入の確認
期末日前後における売上の内訳を確認し、売上計上時期と期末日在庫の整合性を調査します。
また、期末日前後における仕入の内訳を確認し、仕入時期と期末日在庫の整合性を調査します。
4.期末日前後の整備記録の確認
期末日前後における整備記録を確認し、期末日時点で整備工場などへ入庫していた車両で、在庫車として計上されていない車両がないかを調査します。
5.調査日現在の棚卸状況の確認
税務調査は、対象となる調査期間(通常は直近3年間)についてが行われるべきものですが、調査日現在の棚卸状況を確認することにより、日頃の棚卸資産の管理体制を調査することがあります。
6.在庫の保管現場の確認
店舗や展示場の他に、倉庫や置き場を有している場合には、その現地確認を行い、未整備車両やレストア中の車両、そしてストックパーツの有無などについて調査します。
7.評価損計上に関する関連資料の確認
在庫車などに係る評価損の計上がある場合には、その計上事由に関する資料を基に評価損の計上妥当性を調査します。
いかがでしたでしょうか?
今朝のニュースで、卓球女子団体の日本チームが見事「銅メダル」を獲得したことを知り、とても嬉しい気持ちになりましたが、これは日々の努力と相手チームの研究、そして試合中の戦術アジャストが生んだ勝利だと思います。
税務調査においても、どのような流れで、どのような項目がチェックされるかということを事前に知ることで、対応や対策を柔軟に行うことができるようになります。
もちろん、日々の努力(きちんとした在庫管理)が最も重要な要素であることは、言うまでもありませんが。
それでは次回は、税務調査をスムーズに乗り切るための対応策をご紹介したいと思います。