「自動車・バイク業界における損害保険」と聞くと、自動車保険(任意保険)を真っ先にイメージする方が多いと思いますが、販売店や整備工場を経営する場合には、代理店としてお客様のために自動車保険を取り扱うだけでなく、様々なリスクを考慮して、自分たちも損害保険に加入することが一般的です。
そこで今回は、自動車・バイク販売店や整備工場などが被害に遇った際に受け取る「損害保険金の税務上の取扱い」についてご紹介したいと思います。
受取人の違いによって取扱いが異なります
同じ内容の損害保険金であっても、その保険金の受取人が「法人」であるか「個人」であるかによって、税務上の取扱いが異なるという事実をご存知でしょうか?
意外に思われた方も多いと思いますが、法人経営の場合と個人経営の場合では、同じ内容の保険金を受け取った場合であっても、税金(課税)の対象となる金額が異なるケースがあるのです。
法人が受け取る損害保険金の取扱い
法人経営者が損害保険金を受け取った場合には、受け取った保険金の全てが税金の対象となりますので、その全額をシンプルに「雑収入(営業外収益)」に計上するだけでOKです。
通常は保険金収入と保険事故による損失の額が相殺されますので、税金が課されることはありませんが、古い設備が壊れたことなどの理由で損失の額以上に保険金を受け取った場合には、その「差額」に対して税金が課されることになります。
個人事業主が受け取る損害保険金の取扱い
個人事業主が事業に関連して受け取る損害保険金には、次の2つのケースがあり、それぞれ取り扱いが異なります。
事業商品の補償や休業補償
1つ目のケースは、事業の対象となる商品の補償や休業補償として損害保険金を受け取った場合です。この場合の保険金は、事業収入の代わりとして受け取るものなので、事業の収入として、その全額を計上することになります。
例えば、中古車販売店が在庫車両に損害を受けた場合の補償や、自動車整備工場が損害により休業を余儀なくされた場合の休業補償金などがこれに該当します。
店舗や設備に対する損害補償
2つ目のケースは、事業で使用している店舗や設備そのものの損害に対する補償として損害保険金を受け取った場合です。この場合の保険金は、保険事故による損失の額が保険金収入を上回ったときは、その上回った部分の金額を必要経費として計上します。
逆に、保険金収入が保険事故による損失の額を上回ったときは、この上回る部分の保険金は税金の対象になりません。
同じ損害保険金収入であっても対象や金額によって取扱いが異なりますので、個人の場合には特に、その内容を正確に確認することが重要となります。
以上、今回は「損害保険金」と「税金」に焦点をあててご紹介しましたが、ここでご紹介した内容以外にも消費税の取扱いを検討する必要があるなど、「損害保険金」を受け取った場合には、様々な「税金」の検討が必要となります。
どのように処理すべきか分からない項目が生じた際、私たちにご相談頂ければ、即座にご回答致しますので、ご遠慮なさらず、お気軽にお問い合わせ下さい。