私たちのところに寄せられる相談というのは、経営者の方と経理担当者の方からのものが殆どなのですが、その相談内容の中で意外と多いのが、
『顧問税理士に、経理は必要ないと言われた』
という内容です。
確かに、経理担当者の人件費というのは「固定費」であり、売上に直接結び付くものではないので、中古車販売店や自動車整備工場の経営にとっては負担となります。
しかし、中古車販売店や自動車整備工場において、「経理」というのは非常に重要なポジションであり、経理社員(経理担当者)は必要な存在です!!
一般論として、経理社員を置かずに、経理業務を外部委託(アウトソース)するという考え方は、決して間違いではありませんが、少なくとも中古車販売店や自動車整備工場に当て嵌めるべき考え方ではありません。
そして、この「経理を雇わずに、外部委託しなさい!」という税理士からのアドバイスには裏があって、必ず「私たち税理士に委託しなさい!」という税理士が儲かるための“おまけ”が付いてくるのです。
確かに、月額20万円で経理社員を雇うよりも、月額7万円で税理士に経理業務を委託した方が、実質負担が少ないかのように思えますが、税理士に委託することができるのは、売上・仕入の管理や会計入力といった純粋な経理業務だけであって、必ず自社で行うべき業務は残ってしまいますし、明確に役割分担することは困難です。
また、委託を受けた税理士が、毎日その中古車販売店や自動車整備工場に出勤する訳ではないので、経営指標を即座にお届けすることもできません。
以上より、次のような理由から一般の事業会社のような「経理を雇わずに、外部委託しなさい!」という考え方は、中古車販売店や自動車整備工場には当て嵌まらないと私たちは考えます。
・税金や保険料など特殊な処理が多いこと
・純粋な経理業務以外の総務、庶務業務が多いこと
・経営指標となる数字を即座に経営者に提供する必要があること
中古車販売店や自動車整備工場における経営と経理と税理士
それでは、経営者と経理担当者と税理士は、どの様な関係性で日々の実務に取り組めば良いのでしょうか?
もちろん、規模や経営方針にもよりますが、私たちが考える理想形態をご紹介します。
経営者×経理担当者
経営者と経理担当者は、常に情報共有が行われており、経理担当者は、経営者からの情報を数字に落としこみ、一方経営者は、経理担当者からの情報をもとに最新の業績を把握し、経営指標として有効活用出来ている。
経理担当者×税理士
税理士は、月に1回または2ヶ月に1回程度を目処に、経理担当者が日々入力作成している帳簿書類の監査(チェック)を行い、その指導や業務効率化のアドバイスを行う。一方経理担当者は、日々の業務の中で不明な事項などが生じた場合には、都度税理士に質問をし、ペンディング(先送り)項目を残さないように心掛けている。
経営者×税理士
経営者は、実績の分析や予算の管理を行い税理士に経営に関する相談が出来る環境を整える。一方税理士は、経営面・会計面・税務面など様々な側面からアドバイスを行い、経営者の良きパートナー的存在となっている。
以上、今回はいつもと少し違った視点から、中古車販売店や自動車整備工場の経営・経理について考えてみましたが、私たちは、経営者の方だけでなく、経理担当者の方からのご相談にも対応しておりますので、遠慮なくご相談下さい。