長らく更新が出来ていなかった「自動車業界の税務ポイント」のカテゴリー記事ですが、決して遊び呆けていた訳ではありません!笑。
今年の抱負としても掲げたことですが、中古車販売店(中古車屋)の経営者・経理担当者の方にお役立て頂ければとの想いから、「中古車販売業における経理処理・税務処理」について事例に基づいて分かり易く解説した実務書の執筆活動をしておりました。
この「自動車業界の税務ポイント」のカテゴリーというのは、全国各地の皆様から私たちのところに寄せられる質問の中から、特に問い合わせが多い項目を中心に更新しているのですが、中古車販売店の方からの問い合わせがあまりにも多いので、1冊の本にまとめることにしたのです。
7月に発売予定のこの本のタイトルは…
『いまさら人に聞けない中古車販売業の経営・会計・税務(仮)』
です。
そして、ようやくこの本の原稿が書き終わったので、こうして「自動車業界の税務ポイント」のカテゴリー記事の更新を再開したという次第です。
以上、なが~い言い訳でした!笑。
ではようやく本題です。
中古車販売・自動車整備と消費税の簡易課税制度
以前も自動車業界に係る消費税簡易課税制度における事業区分についての記事を書きましたが、相変わらず問い合わせが多い内容となりますので、総まとめとして、売上項目ごとの事業区分についてご説明したいと思います。
簡易課税制度における売上項目ごとの事業区分
ひとことで中古車販売・自動車整備と言いましても、様々な売上項目が存在し、簡易課税制度における事業区分も、その売上項目ごとに異なります。また、同じ「中古車の販売」や「自動車の整備」であっても、その内容によって事業区分が異なることもありますので、これからご紹介する売上項目ごとの事業区分をご参考頂き、取引内容に応じた正しい事業区分を選択するようにして下さい。
中古車の販売
中古車の販売は、仕入れた商品を同業者や一般消費者に販売する形となりますので、原則として、業販やオートオークションへの出品は、第1種事業(卸売業)で一般顧客への販売は第2種事業(小売業)となります。
しかし、この「卸売業」や「小売業」に該当するには、「他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで」販売することが条件となりますので、通常の点検整備や車内清掃・ワックスがけといった程度で販売する場合には、第1種事業または第2種事業で問題ないのですが、板金塗装や部品交換を伴う整備などといった一定の加修をしてから販売する場合には、第3種事業に該当することになりますので注意が必要です。
自動車の整備
自動車の整備や修理の売上は、原則として第5種事業(サービス業等)に該当します。
ちなみに、整備や修理に伴う部品代金を区分して請求書に記載していたとしても、その部品代金も含めて全体が第5種事業に該当することになるので注意して下さい。
ただ、整備や修理に伴ったものではなく、「タイヤ交換」や「オイル交換」といった商品の販売と工賃を合わせて請求する様な場合には、商品の販売部分は第1種事業(卸売業)または第2種事業(小売業)に該当し、その交換工賃の部分のみが第5種事業に該当します。
登録・車検などの代行手数料
中古車販売時や車検時の受け取る代行業務に係る売上は、第5種事業(サービス業等)に該当します。
保険の代理店手数料
自賠責保険や自動車保険(任意保険)の代理店手数料として受け取る売上高は、第5種事業(保険業)に該当します。
なお、この取扱いは、平成26年度税制改正により平成27 年4月1日以後に開始する課税期間から適用されているもので、それまでは第4種事業(保険業)に該当していました。会計ソフトの設定などを変更し忘れて、ずっと第4種事業として申告してしまわないように注意しましょう。
事業用資産の売却
中古車販売店や自動車整備工場が事業として使用している設備で、買い替え等によって不用になったものを売却した場合、この売却収入は、第4種事業に該当します。
リサイクル預託金の代金
車両販売時にお客様から受け取るリサイクル預託金の代金は、課税売上には該当しません。
このリサイクル預託金に関しては、実務の現場においても誤った処理が散見されますので、その内容を分かりやすく整理して、改めてご紹介したいと思います。
その他の売上高
代車の使用料など、上記に掲げるもの以外については、個別に検討することになりますが、その大半は第5種事業に該当すると思っておくと良いでしょう。
以上、売上項目別にご紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
簡易課税制度における事業区分というのは、何となくボンヤリした論点で、正解を導くのが難しいですよね。
判断に迷われる項目がございましたら、顧問税理士に個別にご相談頂くか、私たちのところまで気軽にお問い合わせ下さい。