前回の「第2話:診断」で大よその状態が把握できましたので、ここから先は補修作業に入っていく訳ですが、まずは、どのような方法で補修するかという「方針」を決める必要があります。
錆というのは非常に厄介な存在で、一度錆びてしまった鉄は元には戻りませんし、少しでも錆が残っていると、またそこから錆は進行してしまいます。
そこで、今回の様な状態では、錆びてしまった部分を完全に切り取って、新たに鋼板を溶接して貼り付けるという手法が一般的です。
しかし、溶接による補修の場合、周りの塗装も熱で焼けてしまうため、補修コストと塗装コストを考えますと、かなり高額になってしまいます。
私たちは、このバルケッタをフルレストアしたい訳ではなく、「まだこれからも安全に楽しく乗りたい!」という趣旨での補修ですので、プロの方からも色々とアドバイスを頂き、もう少し手軽な補修方法として「FRPによる補修」を選択することにしました。
FRP補修で大丈夫なの?
本来、鉄で構成されている部分をFRPで補修することになる訳ですが、「そんな補修方法で大丈夫なの?」と思われた方も多いと思います。
そんなこと、私たちに聞かれても分かりません!笑。
しかし、強度という面からは間違いなく大丈夫でしょう!自動車、小型船舶、ヨットなどでFRPボディを採用しているものはたくさんありますし、皆様がイメージされているよりFRPは強度があります。
あとは、サビの再発問題ですね。
前述のとおり、少しでも錆が残っていると、またそこから錆は進行してしまいますので、既存の鋼板を極力残す形で行うFRP補修は、将来的に錆が再発してしまいます。しかし、それも既存の鋼板部分に適切な錆止め処理を行うことによって進行を止めることができるので、少なくともこのバルケッタが現役で走っている間は大丈夫だと私たちは踏んでおります。
自分で材料を入手して、簡易的に自作FRP補修をされたケースでの錆再発の事例は良く目にしますが、プロが施工した補修後からの錆再発は殆ど無いようですね。
クルマとお金の考え方
誤解の無いように申し上げておきたいと思いますが、クルマをレストアすることが目的であれば、今回のFRP補修という選択は大間違いだと言えます。
しかし、「クルマに対する考え方」や「クルマに対するお金の使い方」は人それぞれ価値観があって良いと私たちは考えています。
折角のクルマなのだから、完璧なコンディションで乗らないと意味が無い!
と言う人もいます。
コンディションが悪くても、限られた予算の中で憧れのクルマに乗りたい!
と言う人もいます。
私は、どちらも間違いではないと思います。
莫大な予算を投じて、乗りたいクルマに完璧なコンディションで乗ることが理想的なのでしょうが、誰しもが実現できることではありませんから。
では、私たちが目指すところは何なのか…それは、カーライフを目一杯楽しむこと!です。
ボディに多少のヤレ感があったり、足回りがそこそこヘタっていてもご愛嬌♪
今回のフロア補修で、FRP補修を選択したことにより浮いた予算を使って、バルケッタに乗って美味しいイタリアンを食べにいく!それが私たちのスタイルです♪