以前にジャニーズ問題に関するニュースで話題になった「事業承継税制」ですが、TVニュースやネットニュースでは、事業承継税制を使うと相続税が「免除される」と報道されていました。
ただコレ、実際には「免除」ではなく「猶予される」が正解です。
免除:
義務、役務などを免ずること。
猶予:
実行の日時を延ばすこと。
全く意味が異なりますね。
そして、自動車業界の事業承継に関する相談を受ける機会が多い私どもですが、この事業承継税制という名の「納税猶予制度」は推奨していません!
話は少し変わって、以前の記事や拙書の中で「節税の基本は課税の繰り延べである」と書かせて頂いています。
この「繰り延べ」という言葉にも「猶予」に近い「先延ばし」という意味が含まれています。
今課税させるのではなく、将来に課税させるのが「課税の繰り延べ」であり、その将来に課税させるタイミングを「出口」と呼んだりもします。
で、話を戻して、この事業承継税制は「出口」が見えないのです。
子供の代か、孫の代か、曾孫の代か…
いつかは相続税を払うときがきます。
今は適用要件が甘く、適用範囲も広いため使い勝手が良さそうな制度ではありますが、いつまでも好条件が続く訳ではありません。
理屈上は、代替わりする度にこの納税猶予制度を使い続ければ、ずっとずっと相続税を支払わなくて済むのかもしれませんが、この出口のないトンネルに入る勇気がありますか?
自分の子供や孫に、このトンネルの途中でバトンを渡すつもりですか?
最後は少し意地悪な言い方をしましたが、実際に事業承継税制を有効活用されている方もいらっしゃるでしょう。
ただ、もし積極的に事業承継税制を勧めてくる税理士がいたとするならば、「無責任」か「不勉強」のどちらかである可能性を疑ってみても良いかもしれません。