夏休みに入って、今年は久々に海外旅行を検討されている方も多いのではないでしょうか?
サラリーマンの方は、「会社から夏休みを貰って家族サービスをする!」ということ以外に特に論点は生じないのですが、この記事をご覧になっている経営者の皆様は、やっぱり「できれば経費にしたいなぁ…。」という想いもあるでしょう。
そこで今回は、税法上の海外渡航費の取り扱いについて、実際の「基本通達」をご紹介しながら解説していきたいと思います。
✅所得税基本通達37-16
(事業を営む者等の海外渡航費)
事業を営む者が自己の海外渡航に際して支出する費用は、その海外渡航が当該事業の遂行上直接必要であると認められる場合に限り、その海外渡航のための交通機関の利用、宿泊等の費用(家事上の経費に属するものを除く。)に充てられたと認められる部分の金額を必要経費に算入するものとする。
なお、事業を営む者と生計を一にする親族で法第57条第1項又は第3項《事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等》の規定の適用を受けないものの海外渡航のために事業を営む者が支出した費用又は支給した旅費についても、これに準ずる。
事業の遂行上直接必要であると認められる場合には、経費になるってことですね。
✅所得税基本通達37-17
(使用人に支給する海外渡航旅費)
事業を営む者がその使用人(事業を営む者と生計を一にする親族で法第57条第1項又は第3項の規定の適用を受けるものを含む。)の海外渡航に際し支給する旅費(支度金を含む。以下37-22までにおいて同じ。)は、その海外渡航が事業を営む者の当該事業の遂行上直接必要であり、かつ、当該渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費として必要経費に算入する。(注) 事業の遂行上直接必要と認められない海外渡航の旅費の額及び当該事業の遂行上直接必要であると認められる海外渡航の旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額は、その支給を受ける者に対して支給した給与等又は役務の報酬として必要経費に算入される。ただし、事業専従者に対して支給した給与とされるものの必要経費算入については、法第57条第1項又は第3項の規定の適用がある。
ふむふむ。使用人に支給する場合の旅費もやはり「事業の遂行上直接必要」がキーワードで、かつ「通常必要と認められる部分の金額」というポイントも重要になりそうですね。
✅所得税基本通達37-18
(旅行期間のおおむね全期間を通じて事業の遂行上直接必要と認められる場合)
37-16又は37-17の場合において、その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じ明らかに当該事業の遂行上直接必要であると認められるものであるときは、その海外渡航のためにその事業を営む者が支出した費用又は支給した旅費については、社会通念上合理的な基準によって計算されているなど不当に多額でないと認められる限り、その全額を旅費として必要経費に算入することができる。
ついでにどこかに立ち寄ったとしても「おおむね全期間を通じ明らかに当該事業の遂行上直接必要」な渡航であればOKってことですね。
✅所得税基本通達37-19
(事業の遂行上直接必要な海外渡航の判定)
事業を営む者又はその使用人(事業を営む者と生計を一にする親族を含む。以下37-22までにおいて同じ。)の海外渡航が当該事業の遂行上直接必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定するものとするが、次に掲げる旅行は、原則として、当該事業の遂行上直接必要な海外渡航に該当しないものとする。(1) 観光渡航の許可を得て行う旅行
(2) 旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行
(3) 同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認められるもの
先ほどの「事業の遂行上直接必要」かどうかの判定は、旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定するとのこと。
まぁ、観光旅行とか、団体旅行などはやっぱりNGですね。
じゃあ、同伴者がいる場合は?
じゃあ、じゃあ、事業の遂行上直接必要な旅程と、それ以外の旅程が混ざった海外渡航だった場合は?
この辺りの1歩踏み込んだ論点は、また明日。