自動車業界の税務ポイント

クレジットカードの利用明細は領収書の代わりになるのか!?


以前に領収書に関する記事をアップしましたが…

 

今回は、これに関連しご質問が多かったクレカ明細に関する内容をご紹介します。

キャッシュレス時代を生きる皆様ですから、各種経費をビジネスカード(クレジットカード)で支払うケースも多いと思います。

クレジットカードで決済をすると、レシートや領収書と一緒に「利用明細」を受け取るのが一般的です。

そこで問題になるのが、この「利用明細」が領収書として使えるのかどうかということです。

利用明細と請求明細

カード会社ごとに呼び名は様々ですが、クレジットカードに関する明細には「利用明細」と「請求明細」の2種類が存在します。

クレジットカード利用明細

クレジットカード利用明細は、クレジットカードを利用した際に店舗などから受け取るものです。

白・ピンク・緑などのレシートみたいなヤツですね。

この利用明細には、

・利用日
・利用金額
・使用した店の名前

などが記載されているので、いつどこでクレジットカードを利用したのかがわかります。

※ガソリン代や大手店舗などの場合には、レシートと一体型になっているケースもあります。

クレジットカード請求明細

クレジットカードの請求明細は、毎月クレジット会社から送付される引き落とし内容が記載された明細のことです。

クレジットカードの請求明細には、

・口座振替日
・口座振替金額
・利用実績

などが記載されていて、前述の利用明細の内容を一覧で確認することができます。

領収書の代わりになるための要件

ここから本題ですが、クレジットカードの利用明細や請求明細を領収書の代わりとして使用できるかどうか、領収書として認められるための要件を確認していきます。

経費性と消費税の仕入税額控除の両方を考慮した場合、領収書には次の5つの項目が記載が記載されている必要があります。

・発行者の名称(お店の名前など)
・取引年月日
・取引内容(商品名など)
・金額(本体価格、消費税の金額、税込価格など)
・宛名(購入者の氏名など)

※小売業など、不特定多数を相手にしている業種の場合は、宛名を省略することができます。

結論

まず、クレジットカード請求明細は、取引内容(商品名など)の記載が無いので領収書の代わりにはなりません。

一方、クレジットカード利用明細は、基本的には領収書の代わりにはなりませんが、レシートと一体型になっていて取引内容(商品名など)が記載されているものは、領収書の代わりになります。

よく、クレジットカード請求明細を領収書代わりにして、利用明細やレシートを捨ててしまう人がいますが、それでは何の効力もなく、経費や消費税の仕入税額控除は認められません。

お店でクレジットカードを利用した場合、クレジットカードの利用明細とは別に受け取ったレシートや領収書を必ず保存しておくようにしましょう。

インターネットで商品を購入した場合は、商品名などが記載された購入明細書などを保存しておくようにしましょう。

下記に消費税に関する国税庁「質疑応答」の内容を記載しておきますので、ご興味がある方は参考になさって下さい。

カード会社からの請求明細書

照会要旨

法人カードを利用している場合には、カード会社から一定期間ごとに請求明細書が交付されますが、この請求明細書は消費税法第30条第9項《仕入税額控除に係る請求書等の記載事項》に規定する請求書等に該当するのでしょうか。

回答要旨

クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付する請求明細書等は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が作成・交付した書類ではありませんから、消費税法第30条第9項に規定する請求書等には該当しません。

しかし、クレジットカードサービスを利用した時には、利用者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が、「ご利用明細」等を発行しているのが通常です。

この「ご利用明細」等には、

1その書類の作成者の氏名又は名称、
2課税資産の譲渡等を行った年月日、
3課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(当該課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)、
4税率の異なるごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額、
5その書類の交付を受ける者の氏名又は名称

が記載されていることが一般的であり、そのような書類であれば消費税法第30条第9項に規定する請求書等に該当することになります。

関係法令通達

消費税法第30条第7項、第9項、平成28年改正法附則第34条第2項


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