リサイクル預託金の経理処理は意外と簡単って…
中古車販売とリサイクル預託金
中古車販売の実務においては避けて通ることのできない「リサイクル預託金」の存在ですが、何となく難しく考えてしまっている方も多いと思います。しかし、リサイクル預託金の経理処理は、リサイクル料金の流れと負担者の仕組みを理解してしまえば、驚くほどシンプルです。
リサイクル料金の仕組み
リサイクル料金は、その車両を新車で買った人が預託し、その預託した金額を車両と一緒に次の所有者に引き継いでいきます。つまり、中古車の売買と同時に、リサイクル料金も一緒に売買されているのです。そして、このリサイクル料金の負担者は、そのクルマの最終所有者となります。車両と一緒に次の所有者、また次の所有者へと引き継がれていったリサイクル料金は、最終的に車両を廃車にする時の所有者(一般的には廃車業者)が負担することになるのです。
リサイクル預託金の経理処理
車両の売買と同時にリサイクル預託金も一緒売買されていることは前述のとおりですが、車検証入れに入っている預託証明書(リサイクル券)という「金券」を車両とセットで売買しているイメージを持って、仕入時と販売時の経理処理を行うと良いでしょう。仕入れたタイミングで「立替金」や「預け金」で処理されているケースも散見されますが、あくまも「金券」を仕入れて、それを販売しているので、「立替金」や「預け金」という概念は存在しません。
車両仕入時の仕訳
前置きが長くなってしまいましたが、具体的な仕訳処理について考えていきましょう。前述のとおり、車両仕入時には「金券」を仕入れただけですので、リサイクル預託金部分の金額はシンプルに「仕入」として処理します。ただし、車両本体の仕入れと違い、「金券」の仕入れには消費税が含まれていませんので、消費税区分を分ける観点からも通常の「車両仕入高」とは別の「リサイクル預託金仕入高」という勘定科目を設けて仕訳処理すると良いでしょう。
なお、「仕入」で処理するということは、在庫車の棚卸しを行う際には、棚卸額に含める必要がありますので、ご注意下さい。
車両販売時の仕訳
車両販売時の仕訳処理も、仕入時と同様に「リサイクル預託金売上高」という勘定科目を設けて仕訳処理すると良いでしょう。しかし、ただ単に消費税が含まれていない取引(=不課税取引)として処理した仕入時と違い、車両販売時におけるリサイクル預託金の売買は、
消費税法上「有価証券等の譲渡」として扱われるため〝5%相当額を非課税売上に加算〟する必要があります。一見すると何だか大変そうですが、勘定科目作成時に消費税区分も設定してしまえば、何ら難しいことはありませんので、ご安心下さい。
コラム説明
この記事は、自動車流通新聞(グーネット自動車流通)さんで連載しているコラムの内容を転載したものです。
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