源泉所得税の納付は1日くらい遅れても平気って…
源泉所得税とは
我が国には、給与や報酬などの所得を支払う者が、その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するという制度があります。そして、この「差し引いて国に納付する所得税」のことを源泉所得税といい、原則として、差し引いた(源泉徴収した)日の翌月10日までに国に納付する必要があります。
源泉所得税の納期の特例
源泉所得税には、給与の支給人員が常時10人未満である事業者に限り、源泉所得税を毎月ではなく半年分ずつまとめて納付することができる特例制度が設けられており、所定の申請書を提出することにより、その適用を受けることができます。納期の特例を受けている事業者の令和元年下期(7~12月)分に係る源泉所得税の納期(令和2年1月20日)が近づいてきましたので、今回は源泉所得税の実務において注意すべきポイントについてご紹介したいと思います。
特例対象外の源泉所得税
源泉所得税には、その税金を半年分ずつまとめて納付できるという特例制度があることは前述の通りですが、この特例の対象となるのは、給与や税理士等の報酬に係る源泉所得税のみであり、例えばライターさんに支払った原稿料に係る源泉所得税などは、納期の特例は適用されず、原則どおり毎月納付が必要となります。
行政書士報酬と源泉所得税
自動車登録の際に代書などを行政書士に依頼した場合の行政書士報酬は、税理士等の報酬と同じ扱いであると誤解されやすい項目ですが、源泉徴収をする必要のない支払いです。誤って源泉徴収をしないようにしましょう。
請求書に記載がない場合
実務においては、支払先からの請求書に準じて源泉所得税を差し引いている方が殆どだと思いますが、請求書に源泉所得税の記載が無いからといって源泉徴収をする必要が無い訳ではありません。源泉徴収をする義務は、原則としてその支払をする側にありますので、先方からの請求書に源泉所得税の記載がなかったとしても、支払側が源泉徴収をすべきか否かを判断する必要があります。特にフリーランスの方や、ベテランの弁護士先生の請求書などで源泉所得税の記載が無いケースが散見されますので、注意が必要です。
気付いたら即納付
源泉所得税の納付が納期から1日でも遅れてしまった場合には、「不納付加算税」という罰金が追加で課されてしまいますので、納期はキチンと守るようにしましょう。なお、万が一納期を過ぎてしまったとしても、税務署から指摘を受ける前に自ら気付いて納付した場合や、一定の要件に該当する場合には、この不納付加算税が軽減・免除される救済規定がございますので、納付漏れに気がついたら、直ちに納付して下さい。
コラム説明
この記事は、自動車流通新聞(グーネット自動車流通)さんで連載しているコラムの内容を転載したものです。
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