自動車業界の税務ポイント

第4回:勘定科目は自由ってウソ?ホント?


勘定科目は自由って…

お好きな科目で!

会計帳簿に記帳する際に使用する「現金」や「通信費」といった取引の名目を表す科目のことを「勘定科目」といいますが、中古車販売の実務においては、「この取引は、どの勘定科目で処理すべきか分からない」と頭を抱えるケースが少なくありません。そんなとき私は「お好きな科目で良いですよ。」とアドバイスをするようにしています。

残高試算表と決算書

残高試算表というのは、各勘定科目の金額を一覧にしたもので、原則として毎月、経営状態を把握するための「内部管理資料」として作成するものです。
一方、決算書というのは、原則として年に1回、株主や債権者、そして税務署などに提出するための「外部報告資料」として作成するものです。
この残高試算表と決算書、作成時期や形式も当然異なりますが、最も大きな相違点は、その作成目的にあります。
決算書が外部報告資料として作成されるのに対して、残高試算表は、業績把握のための内部管理資料として作成されるので、勘定科目という点からいいますと、残高試算表の勘定科目は、ある程度自由に設定しても良いのです。
もちろん、金融機関に融資を申し込む際などに、決算書と一緒に直近の残高試算表の提出を求められるケースがありますので、あまり自由すぎるのも如何なものかと思いますが、経営者の方が後から見て把握しやすい勘定科目を使用することが重要です。

勘定科目設定・運用

残高試算表の勘定科目の設定は自由であることは前述のとおりですが、簿記のテキストに載っている勘定科目や会計ソフトに初期設定されている勘定科目では、中古車販売における会計処理に当てはめるのは困難です。
中古車販売店が勘定科目の設定・運用を行う際に最も大切なのは、自店オリジナルの科目体系をしっかりと設定し、そのルールに従って規則的に処理することです。
まずは、経営者の方が会計帳簿から何を把握したいのかをしっかりと考え、自店オリジナルの勘定科目体系を設定して下さい。そして、その設定された勘定科目体系に従って規則的な処理を行うことによって、会計帳簿が「単なる成績表」から「生きた経営指標を示す存在」へと変わることでしょう。

写真:売上項目ごとに勘定科目を設定した例

コラム説明

この記事は、自動車流通新聞(グーネット自動車流通)さんで連載しているコラムの内容を転載したものです。
自動車販売店の経営者や実務担当者が抱く経営・経理・税金に関する様々な疑問について、自動車業界専門の税理士が解説しておりますので、他のコラムをご覧になりたい方は、下記URLより一覧でご確認頂けます。

中古車販売店「経営実務」のウソ?ホント?
http://www.mn-tax.jp/garage/goonet


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